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残念なセルフ解説 (※ネタバレ)

 作成中につき随時更新。

 自分で自分の作品の解説を書くほど恥ずかしいことってマジで無いと思うのですが、どうしても書きたいので書きます。作中に詰め込んだつもりなので、作中に欠片も書いてないことはできるだけ書かないようにしたいです。補足でもあり感想でもあります。

 ※ネタバレ配慮ぜんっぜん無いので注意

  1. #1
  2. #2
  3. 死に設定たち

1

 湿っぽくて怪しい初回。マイクがめっちゃ粗末に扱われている。初期はものを粗末にする描写が多かった。マイクを真っ二つに折り捨てるのは無理。

 ロリコンの扱いもひどい。この傾向は、数年後に筆者がロリコンの切なさに気づくまで続く。ある意味それが反映されてるのが#2のミシマリ。

 キリウが他人の挙動にいちいち口を出さないのは、わりと最後まで一貫してるはず。口を出せば救えた人もいるし、口を出さなかったから救われた人もいるだろうから、一概にそれが良いか悪いかは不明。でもファンタジー小説の少年主人公がそれでいいのか。

2

 弟の話が初めて出てくる回。

 初期は双子について地の文で「似ていない」と何度か書いてるが、後々わかるように、本当はそっくりな顔をしている。矛盾が生じたレコード上では双子が「似ていない」ことになっている (150話) ので、ここらへんは地の文が嘘をついている。が、表現が稚拙すぎてただの矛盾みたいになっちゃった。

 電波塔の監視とは結局何だったのかというと、土地ごとに異なる電波塔の設定値を正しい範囲内に保つための作業。ただし設定値を変更するには権限が必要だから、この頃は、地上の人は値を中央に報告する作業だけを請け負っていた。

 計器をシンセに例えたがる。他にも、キリウが音楽に興味があるっぽい描写はたびたび出てくる。

3

 ユコ登場回。女の子がめっちゃ強いのはファンタジー。たぶん見た目よりウェイトがあるタイプ。ただ一応、アドレナリンの出方がおかしくてタガが外れやすいとか、なんだかんだ勝てる状況をちゃんと判断しているだとか、そういう感じだと思う。思うだけ。

 アンケートの年、D6D8はHEXで55000。今思うと、年月日の年だけHEXなのはマジでダサい。こっそり全部直したいくらいダサい。ただこれも一応、箱庭の作者が現実世界をモデルにしてしまったせいで、中途半端にグレゴリオ暦なんだと思う。思うだけ。

 アラビア糊のアラビアは、辞書データだけ存在するせいで、作中の人物にはなんだかわからないもののひとつ。ナポリタンとか宇宙とかと同じ。

4

 悪魔についての説明回。不老のキャラというと、どうやって生活してるんだろうなあとか考えるんだけど、身体がずっと若くて元気なわけだから、案外永遠にその日暮らしができるんじゃないかと思ったり。

 するとやっぱり住むところと仕事がネックになるけど、日陰者街はその点ぜんぜん困らない。仕事はいっぱいあるし、保証人こそ必要だけど子供の一人暮らしもザラ。だからあんまり悲壮感が無いし、キリウは普通に悪人。

 この頃のキリウは情報がぎっしり詰まった電波を至近距離から浴びてるせいで、本来の生物としての電波の受信機能に少し異常をきたしている。キッシュ街の人 (69話) 状態。

5

 がれきの上でキリウとユコがしゃべってるだけの回。今読むと、ユコがしれっと街の外に出ているのがレア。

 ベタベタだけど、この世界のほとんどの人は、世界の変なところに目を向けないようになっている。電波がそう仕向けてるので、電波塔に近い街の人とか電波を長い間浴びてきた大人ほど、そういう傾向が強い。

6

 世界はリコピンの見た夢回。

 キリウの頭にトマトが詰まってる話はこの後も度々出てくるが、特に意味は無い。最終的には巨大なトマトの夢を見るようになるけど、やはり意味は無い。ほんとに無い?

7

 一応ルヅ登場回。この世界にはガソリンが存在する。

 関係ないけど、現実ではこの数年で喫煙者に対する風当たりがすっかり強くなった。ブラックデビルというタバコは販売終了した。ブラックデビルは巻紙が黒くて、煙が痛くて甘い香りがする。なお、イドピカは喫煙者がたびたび出てくる (ルヅ, ヤマテ氏, I.D.) が、筆者は喫煙者ではない。

8

 ラーメン屋さん回。しなちくって固有名詞も、登場人物たちはシナが何なのかわからない。

 ここでわめいてる妖精は後に名前が出てくるラジオDJのE.A.だけど、今思うとこんな広い世界でキリウと出会えてるのが奇跡すぎる。実際、当初はこいつらのラジオ局を最後まで引きずるつもりはなかった。でも#2を書いてて、だんだんキリウが精神的に追い込まれていくにつれて、キリウを救えるのがこいつらだけだと気づいたあたりから軌道修正した。

9

 ノリだけの回。

 愛という単語が出てきたから書いておくと、キリウはLOVEとLIKEの区別がつかない。これはキリウが誰でも彼でも友達扱いするのと根底が近い。LOVEに憧れているが、実際にはLIKEしか持っていない。ここらへんは206話で伝えたかったのだが、伝わってなかったら無念。

 LOVEとLIKEに対するスタンスは、わりとキャラごとに決まっている。

10

 お前って本当にクソ野郎だな!!

11

 トラン登場回。骨精霊って表記はだんだんしなくなっていった。特に#3では書籍名を除いて一回も使わなかったけど、それは当事者のI.D.がメインキャラで、人間目線の骨精霊って言い方が合わなかったから。

 が、今読み返すとこれ、最初に出てくるモノグロが奇形のトランなのはかなり不親切。あまりにも分かりにくいので、これを書きながら少し書き足してしまった。

12

 果物ナイフ回。謎の「金属イオンは思春期の迷いを消し去ってくれる」言説が初出。

 イドピカは全体を通してリンゴとトマトがよく出てくるが、特に意味は無い。ただ、キリウが赤と青なので、白黒以外では赤いものと青いものがよく出てくる。

13

 箱入りの銀色のリンゴはジュンからのおみやげ。コランダミーが無理やり送ったから無記名だった。ジュンは地理的にかなり離れたところにいるはずなので、たまたま盗まれたリンゴの転送先あたりに居たらしい。

 キリウの謎の仕事シリーズは、いつもできるだけ意味不明なものを考えて書いていた。「結婚式に香典を叩きつけて帰ってくる」とかは、今はもう思いつく気がしない。

14

 しれっと永田町とか書いてるけど突っ込まない。この話はかなり短編のノリ。当初はこういうデタラメな話が多かった。話がどんどん暗くなっていったせいで、#2あたりからはこういうノリは無くなってしまった。

15

 車が少ない世界なので、元手さえあればタクシー運転手はわりと儲かる職業だと言われているが、日陰者街では車もすぐ壊されたり部品を盗まれたりするので大変らしい。

 関係ないけど、自分が書いたにしてはわりとクスッとくる文章。

16

 ユコは笑いながら人を殴るタイプではない。どちらかというと、殴ったり殴られたりというシチュエーションにホコホコするので、こういう状況も楽しいとは思っていない。キリウは少しユコのことを誤解している。

17

 出会ってしまった回。ユコとルヅは互いを友達の友達だと思っている。友達かはともかく、そう思っている。

 キリウは、少なくともユコが自分で自分の身を守れるようになるまではルヅに会わせたくなかった。でもキリウはこの街では有名人なので、キリウが女の子を拾ったこと自体はルヅも知っていた。

 余談だけど、ルヅのモデルは昔ネットの掲示板で見た荒らしコテハン。もちろんキャラとして作り直してはいるが、ゼロから自分で考えたキャラならこうはならなかったであろう箇所がいくつかある。

18

 だいたい「○○の夢」というサブタイトルの話ほど夢じゃなかったりする。

 キリウの髪が日焼けしているという描写がある。特に初期は人物の見た目の説明が少ないので、ちょっと珍しい。

19

 地味に白い虫が初登場回。紙飛行機を裏返したような、という形容はこの頃からある。サイズは「チビッコの手のひらより、少し小さいくらい」。10センチ前後?

 モブの子供がひどい目に遭っている。わりと老若男女ともひどい目に遭うので、平等な小説である。

20

 イドピカというタイトルとカレイドスコープという単語は関係あるけど、実際それほど意味は無い。すべては自殺した神様の部屋の中にしか存在しなかった。ろくな結末は無い。

21

 ベランダに勝手に荷物を置いていかれるルヅの回。窓から灰皿を投げ捨てるような奴をフィクションのキャラとして受け入れてくれる人に感謝。

 ルヅは本当に相手が死ねばいいと思って「死ね」と言う。死ねと言われて死ぬような雑魚は眼中に無いし、どんなに強い奴でも死ぬときは死ぬと思っている。

22

 青旗回。青旗ってなんだよ。

 感情を持つリンゴにまつわる話は、なぜかこの後#3までちょくちょく出てくる。或田教授が感情を持つリンゴを作ったせいで、この世界ではリンゴを食べるのが残酷な行為になってしまった。

 キリウがリンゴを食べる描写は全体通して複数回出てくるけど、あんまり意味は無い。ただ、嫌悪感のある描写が多いトマトと違って、リンゴはわりと普通に食べている。そしてなぜか、食べものとそれを食べてる人物との精神衛生が連動している箇所が多い。

23

 肘鉄回。兼、日陰者街の説明回。

 日陰者街には、明らかにダメな人と、見た目まともだけどダメな人がいる。昼間に出歩いているような人は、見た目まともだけどダメな人が多い。夜に出歩いてるような人は、明らかにダメな人。同じ人でも昼と夜で変わるらしい。だから昼に見ると、治安が悪くて変な人が多いだけの普通の街かもしれない。

24

 絶縁体 (ブラックボックス) は電波を遮断する物質。この箱にものを入れると、電波が届かなくなって崩れてしまう。或田教授がやったことは、独創的な犬種をつくるためにコーギーが火を吐くまで放射線を照射するような真似だったかも。

 電波が届かなくなったオブジェクトはゼロとイチに戻って、見た目は透明な液体になる。

25

 電波塔監視のアルバイトは地域によって条件が違う。というか、アルバイトという形態をとってる地域自体が限られている。

 黒い人影は、ちょっとバグってて見た目がちゃんと描画されてない生き物。キリウが変なのはもともと。特に意味も無い。

26

 悪魔というものが社会でどういう扱われ方をしているのか回。

 日陰者街はテキトーだから、キリウにとっては生きやすい。実際、キリウは昼も夜も知り合いが多い。ルヅはべつに、キリウの中では悪魔という属性が貶しやすいから貶してるだけで、他にもっと面白い属性があったらそっちを貶す。悪魔だから貶してるわけではないし、何の非が無くても貶す。

 ちゃんとご飯を食べているので健康。

27

 無言電話回。ユコは生家に執着がある。特に含みは無くて、マジでただの嫌がらせ。

 たまに、自分が書いたとは思えないくらい好きな感じのセンテンスがある。「そしてこの世は強いとか弱いだけでは語れなかった」のくだりは好き。

28

 街外れの第四十六倉庫回。今見ると、鳩はキリウの中には居ないのでは?と思う。

29

 キチガイ弟がいる夢回。お茶のエピソード自体は史実らしい。弟は、通しで見ると粗暴なシーンが多い。

30

 ペットショップ回。友達の友達同士なので、ユコとルヅはそれなりに喋ることができる。

 ルヅの「ユコがキリウの書類上の娘」という勘違いは、言葉では理解しているけど感覚の上では最後まで引きずる。話が煩雑になるから書かなかったけど、ルヅ自身が捨て子なので、親という存在に思うところがあるからかもしれない。(こういうのここで書きすぎるのもクソだと思うから、番外編にとっておく)

 ルヅはトランが好き。というか、三角の耳がついた生き物が好き。

31

 未亡人とキリウ爆発回。この頃はまだ暴力シーンが淡々としてて、そういう作風にしようと思っていたことがわかる。話が進むにつれてだんだんグロがしつこくなっていったのは本意じゃなかった。ただの変態。

 書いた時にはまったく意識してなかったけど、今読んだら前回のユコの「そんなものでキリウが殺せると思ってんのね」とリンクしていて感心した。

 関係ないけれど、昔もっとGoogle検索がとりとめのないものも表示していた頃、このサブタイトルにつられてアクセスしてくる人がたびたびいた。AIが発達して、そういうのは無くなった。

32

 キチガイ弟ひとり旅回。帰り道なのでひとり。でも、よっぽど遠くにいたはずなので、適当にチートしながら帰ってると思われる。

 キリウが自分に親がいたことを忘れてるのは本当。だからキリウは精神的には孤児ではない。ジュンは忘れられない。

 たぬたぬはお気に入り。今書いてたらもっと引っ張った。

33

 着地失敗して死にかけるキリウ回。

 この頃の白い虫は、キリウから世界に対する嫌悪感みたいなのが強く反映されてるので、普通に気持ち悪い。嫌悪感というか、中二病 (※邪気眼じゃなくて。中二病) だから。ただ、実際にはどこぞの庭師がキリウを守ってくれようとしているものでもあるので、電波による体調不良はちゃんと治ってる。治らなかったのが、キッシュ街の人。

34

 世界の真ん中回。それらしいことを言ってるけどこれ自体は夢。でも、この頃には中央が真っ黒になってしまっていたのは本当。

 ところで#2以降で顕著なんだけど、モチベーション維持のために各話にひとつくらい、書いてて楽しいだけのシーンを入れることが多い。この回はたぶん、キリウがちょっと痛がるところ。

35

 キリウが共通の友達回。

 どうも初期は妙に生々しいというか気色悪い描写があって、読み返すとたまにびっくりする。感染症患者の血とか。ユコが嘔吐する描写は入れたかったから入れた。

36

 ユコの日常回。ユコの暴力性には少なからずキリウが関係あるのは間違いない。ただ、キリウは本当に善意というか、ユコがこの街で生きていけるようにという思いやりから言ってる。ユコもそれは解っている。解っちゃいるけど、簡単には言えない。

 この回では名前が出てこないけど、モリは謎。でも日陰者街にはわりといるタイプ。

37

 電話をかけまくるキリウ回。何の意味も無いサブタイトルシリーズ。

 パイロキネシスは謎。あってもなくてもいい。それより、ここらへんのキリウは妙に或田さんのことに興味津々で謎。たぶんこんな感じで、日陰者街でもあっちこっちに首を突っ込んで顔を広げていったんだと思う。#1のキリウは、定住してるし家族も友達もいるしでとても元気。とか言うとちょっと切ない。

38

 精神病院回。この回のキリウは頭がおかしい。質問してからの「それ以上俺を巻き込まないで」は今見てもひどい。

39

 キリウとジュンの思い出回。あと、線路の横を歩けるっていう説明。

 空色と白が輝いてるような文章を書きたかった。今見たら、どちらも筆者の空想の中にしか無かった。

40

 コランダミー登場回。コランダミーのことは#2の終盤で色々出てくる。

 #1のコランダミーは、ジュン (持ち主) と一緒に居るから主体性があって生き生きしてる。コランダミーがスピリチュアル系で微妙にアホなのはスペック通り。性格や仕草はジュンの好みが反映されてるけど、微妙にロリコン説あり。

 コランダミーの手癖が悪いのは、ジュンがまだキリウより悪事に抵抗があって、一緒に業を背負ってくれる人が欲しいとか考えてしまってるから。これは141話参照。

 人形が食べたり寝たりするのはオプション。ジュン自身は味音痴だったりでアレだけど、コランダミーにはちゃんと食べたり寝たりしてほしいと思ってるので、潜在的には健康。

41

 日刊虚言プランターその1。ジュンが魔法を使えるようになった経緯の説明。

 「自分に備わった魔法の力を消すことだけはできない」制約ってのは、本当のところはこいつ自身がつけたものじゃなくて、与え方が悪くてたまたまそうなってしまったというだけ。魔法ってのは書き込み権限のことで、権限はIDに対して設定できる。付け外しも可能 (190話)。

 実際、この悪魔のせいでテストは中央に帰れなくなったし、中央がワンオペに戻って世界がおかしくなったし、ジュンの人生は狂ったし、キリウも色々引きずる羽目になったので、ストーリー的にはかなり元凶っぽい存在ではある。ただ、こいつ自身は単なるバカ。

42

 勝手に上がり込んでくるユコ回。ユコは幼いころはキリウと一緒に暮らしていたわけで、ある意味実家。

 キリウはどこでも寝られる代わりに布団で寝るのが苦手なので、畳の部屋で暮らしたい。モリは謎。一応、打算抜きでそれなりにユコのことは好き。

43

 たい焼き回。キリウとルヅが元同業者だったことの説明。

 ルヅはキリウが薄情なことを知ってるので、縁を切りたくなるまでは絶対に足をそろえて金を返さない。キリウはルヅにいじめられているので、早いところ過去の友達の一人にしてしまいたいが、なんだかんだで友達だと思っているので非情になれない。

 同じものを食べての感想が二人で違う。

44

 パルミジャーノん君回。パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノ、グラナ・パダーノはチーズの名前。ナポリタンと同じで、これも辞書データ上にしか存在しない言葉。

 トラクターで峠を攻める或田さんは好き。っていうか、この話自体にあんまり意味が無いけどわりと好き。或田さんが何と戦ってるのかは謎。植物愛護団体とか言ってるけど、特に意味は無いのではっきり書かなかった。

45

 切符の数字を足して10の回。ユコはカツアゲをしない。

 ユコはアドレナリン中毒みたいな何かなので、蹴っても殴っても平気だが、気が抜けるとぶっ倒れる。アドレナリン中毒とかいうものが実在するかは不明。

 ものすごく無責任なことを言うと、ユコの背景についてどれだけ本編で書けたかあまり覚えてない。書きながら決めていったところもあるし、書いてるうちにキリウの非がかなりあるような気がしてきて、衝動的に胸倉を掴む (62話) 羽目になってしまった。

46

 ジュンちゃんミーちゃん列車の旅回。地上に黒いがれきが染み出してきてる。

 今思うと、魔法が使えるわ実在しないものが見えるわで、ジュンは設定を積みすぎ。実在しないものが見えるという設定は、ストーリー上は意味があるけど、世界の秘密とは何の関係も無い。この設定をどうするか、正直#2の途中くらいまで悩んでたから没設定がいくつかあるんだけど、キリウを精神的に追い詰めていく方向性になったあたりで、本当に個人的な幻覚ということにしてしまった。もともとジュンと同じものが見えてないことでキリウが隔たりを感じてたので、そこを使っていった感じ。

 ジュンはLOVEとLIKEの区別がつく。区別をつけた上でコランダミーは友達だと言っていて、LOVEとLIKEが入り混じった尊い感情を抱いている。

47

 白ネズミと結婚する気でいたキリウ回。このサブタイトルやりたかっただけ。

 落ちてきた星をキリウとジュンが見に行った話が初出。なお、教授が白ネズミに知恵の実を与えた理由は不明。

48

 ジュンちゃんミーちゃんお祭り回。二人の馴れ初めの説明。

 手でピースサインを作るシーンはいくつか書いた気がするが、確かどれも本当は中指を立ててる。……と書いてから探したが、そんな不穏なピースを作ってるシーンはここしか無かった。あれ?

 ジュンが変な味のするものを食べてる。コランダミーは味が分からないので、ジュンが不味そうにしていなかったら、焼き○○が不味いことが分からない。

49

 クロスワード回。キリウとユコの関係性の説明。

 どちらかと言えばユコを友達にしたがっているのはキリウ。ユコは、キリウが友達だと言うから友達だと思い込んでいるところがある。

 えんぴつを齧るユコがお気に入り。爪を噛むとか壁に頭をぶつけるとか、ストレスが溜まってる子供みたいな行動をさせるのが好きなのかもしれない。そしてちゃんとご飯を食べているので健康。キリウと一緒にいる人は、まともなものを食べてることが多い。

50

 トランの日常回。またはトランがネコとしゃべる回。トランはモノグロ基準では知能が低い方のはずだけど、読み返したらそこまででもないような。ユコはひとりだと不健康。ストレスが胃に来るタイプ。

 個人的には情景が思い浮かぶので好きな回。

51

 ジュンちゃんミーちゃん排水溝回。ジュンはくだらないことに魔法を使う。作中でジュンが魔法を使えることを知っている人物は、結局最後まで例の悪魔ただひとりだけ。

 またジュンが変な味のするものを食べてる。コランダミーは豆腐とか食べる。

 どうでもいいけど「ぶちまけた塩素のにおいで目が溶けてゆく」のくだりはトレインスポッティングっぽい。

52

 霧雨に降られるキリウ回。キリウはいつも焦燥感に苛まれているが、この頃はまだそれに振り回されるほどではない。

 キリウは普通にプラスチックとか金属を食う。特に意味は無いし、不味いとは思っていないので一応健康。

53

 ジュンちゃんミーちゃん魚釣り回。ジュンが何をしているのかは謎。

 相変わらずジュンはまともなものを食えていない。コランダミーも味が分からないのでジュンが被弾するまで気付かない。ぶっちゃけ、登場人物に変なものを食わせると筆者が興奮するというだけなのかもしれない。

54

 モリの名前が出てくる回。筆者が蚕いじりをしてる頃に適当に決めた名前で、蚕の学名から。

 ユコの性質の描写はまんま『鉄コン筋クリート』のクロじゃねーかと思う。ユコは学ランを着てることがあるけど、特に意味は無い。ユコの暴力は二面性とかじゃなくて、普通にユコの一部で、考えてること自体は昼も夜も同じ。

 この頃のキリウは不定形っぽい描写が多い。謎だし適当すぎ。

55

 キチガイ弟が見る夢回。月についてのまことしやかな言説が初出。

 頭のネジの話はよく出てくるけど、特に意味は無い。ただ、ジュンはどちらかというとキリウの頭のネジを締める人。ショックドライバーは、上からトンカチで叩いて抜けなくなったネジを無理やり外す工具。

 歯車はジュンの幻覚。コランダミーには見えてる。

56

 不謹慎ケーキ回。

 いきなり、列車の路線についての解説が出てくる。確かこれを書いた頃に小説『METRO 2033』を読んで、列車の設定をちゃんと作らなければとモロに触発されていた。番号付きの路線は地上を生成した時に自動で配置されたもので、単純に連番が振られてるからそうなっていた。番号なしの路線は、後から地上の住人が自分たちで敷いたもの。連番だとわかりにくいので、そのうち連番の路線にも名前がつけられていった。

 ルヅは外で人を殺して帰ってきた。ルヅは他所から来た人間だけど、日陰者街に居るうちに頭がおかしくなった。でも差別主義者なのは元々だし、ネット掲示板も荒らしてた。

57

 ジュンちゃんミーちゃん最後のデート回。サイバーマリモネットもいるよ。

 ジュンは、自分が悪魔じゃなかったらどんな大人になっていたかとか本当はめちゃくちゃ考えてる。キリウの100倍は考えてる。でも立端があと25センチ伸びたらって、こいつら身長どれくらいだ?

 ジュンが無意識のうちに魔法で世界を書き換えてる疑惑はこの後も74話で出てくるが、それはやってないはずだと一応言っておく。その可能性を残しておくと何でもアリになっちゃうので……。

 アイスについてくる焼き菓子は、しびれた舌を治すはたらきがある。

58

 キチガイ弟の帰還回。ここからたびたび冒頭で出てくるポエムはジュンの記憶。『無数の電波が描く虹』ってフレーズは52話にも出てくるけど、確か電磁波のことを考えて書いたと思う。だから何だよ。

 この頃のジュンはキリウ以外どうでもいい。ルヅは掲示板荒らしてるくらいだから、無視されると面白くないというか、根はかまって野郎。

 身分証明書を捨ててどうこうってネタは、イドピカに限らず非実在電波少年キリウ君自体のテーマ。

59

 コランダミー傷心回。

 超レアなコランダミー視点の描写がある。人工物っぽさを出したかった。コランダミーは、本来ならこのあとジュンが死んだ時点で『持ち主』の状態が解除されてフリーに戻るはずだった。

 ジュンはキリウと別れた後、漫才師時代に一回ヒットしてる。だから『消えたあの人』のインタビュー受けてる。

60

 キチガイ弟に魔法で殴られるキリウ回。キリウの散髪嫌いっぽいものが初出。

 ジュンは旅人のうえ、手元に無くても覚えていられるくせに、収集癖がある。キリウは定住してるけど、持ち物にあんまり執着は無いし、ジュンと違って覚えていられるわけでもない。

61

 キチガイ弟がサイコダイブする回。冒頭のポエムはキリウと別れてからのジュン。

 ジュンはコンテキストの切り替えをサイコダイブ的に行う。もともと幻覚の世界に浸るのが好きだったせいで、#2のミシマリや#3のキリウと違って、権限を持ってても他人の情報を得るのに目はあんまり使わない。気が散るから、自分でそうしたのかもしれない。

 ジュンはキリウがいつおかしくなるか調べに来た。でも、キリウに混ざってた庭師に攻撃された。

62

 校舎の屋上で散髪回。どう考えても映画版『青い春』あるいは漫画『GOGOモンスター』のせい。

 キリウは友達 (ユコ) を悪く言われて腹が立ってる。普段は親代わりの自覚は無い。ユコは本当にキリウに感謝してるけど、心のどこかで憎んでる。それは自分をこんな風にしたことだと思うけど、自分の問題をキリウに押し付けたくない気持ちもあって、全部ひっくるめて、いっそ自分を生かしたキリウを憎んでる。でもキリウと一緒に居ると楽しいし、生きているのが嫌なわけでもないので、普段はそんな風に思ったりもしない。

63

 キチガイ弟が世界をぶち壊す回。ぶち壊したけど元に戻してるから、庭師がデータの不整合に気付いた (172話) 以外では誰にもバレてない。

 当時の方向性がはっきりしてなくて、ジュンがそれなりにまともみたいな書き方になってしまっていた。ジュンは、本来はキッシュ街の人と同じというか、電波塔に興味があるだけの普通の少年だった。それが電波塔に監視されてる妄想 (事実だけど) で、ちょっとおかしくなった。

 キリウがわりといつでもポジティブ電波というかテキトー電波なのに対して、ジュンはお花畑にこもってないとネガティブ電波になる。やはり忘れっぽい方が生きやすい。

64

 角砂糖工場長の角田さん回。キリウとジュンは同じ顔をしているので、色が同じだと見分けがつかない。

 どうでもいいけど、結局メインキャラに漢字やひらがなの名前の人が出てこなかった。

65

 日刊虚言プランターその2。サイバーマリモネットもいるよ。

 目ん玉は、Eちゃん (E.A.) の真似をして「だぜ」口調になった。頭が良くないので無暗に「だぜ」をつける。Eちゃんの真似をするので、カブトムシも食べる。言わずもがなメカニックは#3に出てくるI.D.。この頃は幸せだった。

 本編中に書き忘れたかもとずっと気にしていたのだが、キリウがこいつらのラジオにメッセージを送り始めた時期についてこの話でちゃんと書いててよかった。本編開始100年前くらいだとすると、とっくにキリウとジュンが別れた後なので、ラジオにこつこつメッセージを送っているキリウの姿はジュンも知らない。

66

 キチガイ弟がユコに会う回。冒頭のポエムは故郷にいた頃のキリウ。

 ジュンは甘いものの味が特にわからない。一人称がぶれるのは、ベタだけど自分がぶれてるから。兄がアレすぎて、自分がしっかりしないとと思い込んで生きていた時間が長くて、色々と抑圧され気味。

 モノグロはたぶんIDで他者を識別してる。トランは、ジュンが権限を持っているから怖がっている。

 どうでもいいけど、片仮名のセカイは世界に比べて個々人の世界観のイメージ。今見るとこっそり直したいくらいダサイ。

67

 ルヅは人殺し回。オフだとかなり暗いタイプ。

 好きではないと言いつつ自分から越してきて日陰者街に住んでいる。人を殺し始めたのはこの街に来てから。

 バイク乗り。なんだかんだ一つ一つの街がデカいので、車だのバイクだのはあるとどこでも便利。でもこの街は治安が悪いので、きれいなバイクに乗っていると悪戯される。わざと置いておいて、寄ってきた奴に何かしてるのかもしれない。

 どうでもいいけど、昔は携帯厨って単語があった。携帯 (ガラケー) から掲示板に書き込んでると携帯厨って煽られてた。ルヅはコピペ荒らしをする携帯厨。

68

 テストの話。次に関係する話が出てくるのが#3だから気が長すぎる。

 テストは自立してて中央から箱庭をメンテナンスするキャラクターだった。でも白いちょうちょと出会って変わって、ふらふら地上を出歩いてるところを通りすがりの悪魔に目をつけられて、バラバラにされて権限を抜き出されて白いオブジェに変えられて世界の果てに捨てられた。

69

 キッシュ街のアイツ回。年だけHEXが本当に本当にダサくて自裁もの。

 健全な小説なのではっきり書かなかったけれど、この人は電波塔フェチで、電波塔に登って興奮してる。電波塔がメンテされずにズレすぎると、こんな感じで街がハチャメチャになってしまう。

 今見ると「上司もだんだん図々しくなってきていて(元からだけど)」がツボ。

70

 キチガイ弟が兄を撲殺未遂回。冒頭のポエムは漫才師をやっていた頃のジュン。

 キリウは身体の中に庭師の一部が混ざっているので、致命傷を受けても死なない。キリウが壊れないように庭師が守ってくれてるからだけど、キリウの一部でもあるから反撃する時は相手を選ぶ。

 でも何回読んでもここでいきなりコンクリート塊でキリウを殴るジュンがキチガイすぎる。

71

 ユコの思い出回。絵的に好き。

 キリウはかなり殺伐とした世界観で生きてて、この街で生きていくにはユコにもそれが必要だと思っていた。ただ、自分しか頼る者のいない幼いユコにそれを言うことの重さは解っていなかった。

 オヤっさんが脱サラってのは適当。オヤっさんが嘘を言ったのかもしれないし、キリウが出鱈目を言ったのかもしれないし、ユコが間違って覚えているのかもしれない。

72

 ゲーセン回。屋上で喋ってるのは23話の肘女子と36話のネコ女。

 謎の教育委員会というか、日陰者街の教育制度を立て直そうとしている謎の団体の話は50話とか62話にも出てきた。本筋には一切絡まないけど、どのみちいつかはこの街もキリウの居場所じゃなくなってたんだろうな、という感じはする。

73

 キチガイ弟お散歩回。冒頭のポエムはジュンとコランダミーのファーストコンタクト。

 キリウはしばらくブラックボックスをかぶっていたら、電波の浴びすぎで体調が悪かったのが良くなって、さすがに何かおかしいんじゃないかと気付いた。電波が強いと、自分が何をやっているのかわからなくなる。

74

 キチガイ弟さよなら回。弟はやっぱり電波塔が好き。

 世界の果てが無いのは、観測と同時に地形が生成されるから。地味に「魔法で先をサーチし続けた」のがまずくて、これのせいで地形が生成されまくって世界の寿命が縮んでる。164話のミシマリの「あんなに遠いところを、いったい誰がどうやって観測したんだろう?」の答え。しかも負の座標方面だったから、無効な地形が生成されまくったのがすごく無駄。

 悪魔はだいたい1000年弱でおかしくなる。命というか、アクターとして保持してる各種のカウンタがオーバーフローを起こしまくって、ガチャガチャになってしまうのがだいたいそれくらい。だから人間じゃなくても、正規の生き物はみんな1000年くらいが限界。キリウだけは庭師が混ざってるから大丈夫。

75

 寝起きドッキリ回。裸足でがれきの上を歩けるキリウ。

 悪魔は、ジュンに「生きてますかー?」って聞いて「死んでますー」って言われたこと (41話) に今更気付いてブチ切れてる。魔法で瞬間移動できるので、どこにでも現れられる。

 キリウの悪魔への当たりの強さが酷い。たまに妙に気難しいというか、馴れ馴れしく近寄ってくる奴が嫌い。思春期だからかもしれない。反面、向こうから寄ってこないような人には自分から寄っていく。

76

 ゼロとイチに溶ける回。

 ジュンが蹴っ飛ばしたのは、境界外に落ちたものを回収するモジュール (77話)。地下にすり抜けた後、回収されなかったせいで、死んだときの処理が正規のシーケンスで行われなかった。おかげでコランダミーの持ち主から解除されなくて (163話)、のちにキリウを面倒に巻き込む。が、それが無かったらキリウはコランダミーに出会えなかった。

 べつに電波塔以外から落ちて死んでも、悪魔はどこにでも現れてキリウを連れてきただろうから、キリウに関して言えば死に場所はあまり関係ない。電波塔を選んだせいで境界外に落ちたけど。

77

 世界の真ん中再び回。座標の数値はいったい何進数なのやら。

 エーテルの抵抗うんぬんのバグは、のちに#2と#3の間で修正されてる。彼女の姿は、彼女がテストから聞いた『庭師』という言葉から出た心象風景。

78

 ユコがキリウを水洗いする回。学校さぼり。

 弱味を見せられるというか、剥き出しの感情をぶつけても受け入れてくれる人がいるから、この頃のキリウは素直。

79

 友達の友達同士回。二人は微妙に似てる。めちゃくちゃ周りに迷惑かけてるけど、この街にいる時点で周りもほぼクズだから大丈夫。

 ユコは心の底ではどうあれ弟を悪くは言わないし思わないようにしてる。ユコにはキリウのことを気兼ねなく話せる知人が少ない。ユコにとっての暴力は一応趣味なのに、ここで本当にブチ切れてルヅを殴ったせいで、何かがおかしくなった。

 ルヅは弟のことなんか本当はどうでもいい。動物に暴力振るうわ煙草ポイ捨てるわで、ものすごくわざとらしい。「一瞬の思い出」のくだりは自虐が入ってる。

80

 白い煙草のルヅ回。マッピーはマッポ。

 海はともかく、宇宙は辞書データ上にしか存在しない。ここまでたびたび出てきた「辞書データ上にしか存在しない」というのは、箱庭を作った側の人の世界にあったものが、箱庭の中には無いにもかかわらず、単語や概念としてだけ存在してる状態。電波が弱いと、地上の住人もそういうことを考えてしまう。が、そこらへんの話ってどこかで書いたと思ってたけど、今読み返したら202話とか204話あたりで仄めかしてただけだった。ダメじゃん。

 「なんで白いの?」はキリウのつもりで書いたけど、気色悪いのでぼかしてしまった。

81

 白い虫に食われる回。サブタイトルが『遊戯王GX』アニメ1期のOPなのが謎。せいいっぱいハレルーヤ。

 直球で病んでいる。もともと庭師は白い蝶々だったのに、キリウに見えているのが別の虫なのは、庭師だけのものじゃなくてキリウ自身の要素も混ざってるから。キリウは自分が好きじゃないので白い虫が気持ち悪く見える。特に#1では白い虫を完全に異物だと認識していたうえ、この時は極度に自己嫌悪していたのでこんなことになった。

 書いててものすごく楽しかった回。

82

 ユコやっちまった回。すいません、モブ兄弟の口調が『鉄コン筋クリート』の朝夜兄弟にしか見えなくて辛かったので少し修正してしまいました。なんであんな口調にしたの。

 ユコはもともと夜な夜な暴れてたけど、ルヅのせいで荒れて雑になってて狩られてしまった。暴力が目的じゃなくて手段になってしまったから。やたらと痛い目に遇ってるのは、数週間入院させたかったからであって、筆者の趣味ではない。

83

 ユコの夢回。本音をうまく言えないキャラだから、こういう書き方しかできなかった。

 ユコはモノグロが好き。電波が強い街だったら、非正規の生物であるモノグロに興味は持たなかったかもしれない。「あなたたちは一瞬の思い出にすぎないですか?」は、79話のルヅの自虐がちゃんと伝わってたから複数形。

 #2にも何回か出てくるけど、夢の中で医者と話すのはだいたい映画版『フィルス』のイメージ。原作にもどっかしら影響受けてるはず。

84

 麻酔で見た幻覚回。

 家出少女のユコにユコって名前をつけたのはキリウ。だからユコにとっては、どうしてもキリウは親。#1は本筋を除いたら、永遠の少年と関わったせいで人生が狂った人たちの話かもしれない。

 青い血のキリウは49話の「そこで青い血が出るってことなのかもしんないけど」から。ユコは真面目だから、理解できないものを適当なところで受け入れるのが本当は苦手だった。

85

 夕暮れ散歩回。むずがゆいサブタイトル。

 キリウはもともとユコを放ったらかしてた負い目があって借金取りをやめたので、戻るのが少し気まずい。180話でもう少し書いてる。

 ユコの暴力は手段じゃなくて目的。たまたま有害な人をボコることが多いから結果的に誰かを助けるけど、それは暴力を振るう体のいい理由があることで、ユコの内心のまともな部分が少しだけラクだから。

86

 仕事仲間だったルヅとキリウの話回。借金取りの説明。

 借金取りは日陰者街に限ったものじゃなくて、いろいろルーズな人が多いこの世界ではわりと一般的な職業。無法地帯住まいのルヅとキリウが他所でどんな邪悪な所業をしていたかはお察し。

 キリウが急にお金を必要とし始めた理由はユコ。主に学費。キリウには、ユコの親っぽい立場になってしまった自覚そのものはあって、でもそのせいで対等になれないのが嫌で、友達だと言ってるところがあった。

 読み返して思い出したけど、ショットガンでアナーキーしてディスコードがエレクトリカルバーンってのは『Borderlands2』のメクロマンサー。なんでだよ。

87

 ルヅがユコを殺しに来る回。つらぬけNothing personal。

 ルヅは特に街中で仕事する時は本当に雑というかやる気が無いし、二束三文で引き受ける。たぶん、この街で人を殺しても殺したことにはならないと思ってる。モノグロに赤い血は流れてないから、トランが浸かってたのは他人の血。

 これだけは本編中の描写で伝わっててほしいと願ってるけど、ルヅもユコもサディストではない。ユコは広義のマゾヒストで、ルヅは痛いのは嫌い。今読むと、オッサンが女子高生を殺す構図でも嫌な感じにならないように、けっこう気を遣って書いてるように見える。

88

 病院の待合室でお喋り回。

 キリウが制服を買ってきたのは、血まみれになった前のを捨てたから。この街の学校はみんなすぐ制服を壊すから、採寸とかしないで普通に買えるイメージ。セーラー服は、海と縁遠いこの地域では、概念だけ降ってきてる。

 キリウとルヅの間のことはユコとの間に比べてあんまり書いてないけど、磁石にされかけても縁を切れなかったような心持ちを一言で表したくて、「憧れたが最後諦めきれず」と書いた。年上の友達。

89

 バッティングセンター回。イメージはたぶん『アウトレイジ ビヨンド』。

 この時もう、キリウはルヅがユコを殺したことには気づいてる。だからカステラ食べない。でも捨ててしまいたいとも思えない。

 オヤっさんの書類上の子供はキリウとユコ以外にもたくさんいた。実際に家族ぐるみの付き合いをするのはあまり一般的じゃない。キリウに勝負をしかけたユコはたぶん反抗期だった。でもそういうのを態度に出せるタイプではないし、キリウを友達だと思い込んでいるので、あまり分かりやすい形では発露しなかった。

 なぜかモノポリーはたびたび出てくる。使われてる地名は作中の人物には一切分からない。二人モノポリーは面白くないものの象徴として何回か使ったけど、ここは一人だからもっと切実。

90

 キリウがルヅをブチ撒ける回。ショットガン大好き。

 キリウが自分の意思で身体の中のゼロとイチを使ってる。よっぽど頭の中をかき乱されて致命傷を負わないとできない。ルヅが言ってる「人差し指から」のくだりはユコのこと。ルヅはユコに喧嘩で勝てない。

 ルヅはキリウ含めて本当にみんな死ねばいいと思ってるし、自分も死ねばいいと思ってる。自分から死ぬタイプじゃないから生きてただけ。

91

 ユコの部屋に勝手に入るモリの回。ユコの部屋がおかしいのは、ユコがおかしいから。

 爆弾絡みで「虚飾にまみれた自分をもう一つの人格でもって壊す」的なのは何回か書いたけど、思いっきり『ファイト・クラブ』。好きなもの無節操にネタにするのほんと酷い。

 モリは本当に何考えてるんだかわからないキャラにした。何考えてるんだかわからないなりに生きてる。でも日陰者街にはよくいるタイプ。というか、ユコとルヅがこの街の住人にしては素直すぎるから、一般的な住人のひとりとして出したかった。

92

 未成年者喫煙回。もうやりたい放題。

 #1でときどきキリウが電波塔を壊そうとしてるのは、電波のせいで頭がおかしくなってると思ってるから。黒い箱をかぶると電波が届かなくなるので、過剰な電波が相殺されるときに出てくる白い虫が一時的に消える。

93

 喪服美少女回。喪服美少女を書きたかっただけ。

 喋ってるのはオヤっさんの孫夫婦。「オヤジ」はオヤっさんの息子で、作中に書けなかったけどめっちゃドラ息子。オヤっさんは、家族とか全部捨てて日陰者街に隠居していた。キリウがユコを拾ってきたときオヤっさんが何も言わなかった (180話) のは、それも少しある。

94

 音楽スタジオでお喋り回。ブラックボックスが廃棄されてる。

 オヤっさんは作中に出てきただけでアメ屋・バッティングセンター・音楽スタジオをやっている。死神と契約したからか、何をやってもそこそこうまくいって、飽きるたびに商売を変えてるらしい。

 今読むと微妙に分かりにくいんだけど、クラリネット野郎は92話に出てきた監視バイトの後任者。やっぱり普通の人がやると電波のせいで身体への負担が大きいので、片頭痛になってしまった。

95

 #1は作中で1年くらいしか経ってない。3話の13年前に行われた『全国一斉支持政党調査』の年がD6D8 (55000)。そこから数百年で#2の冒頭で、#2はたぶん50年くらい放浪してる。#2のラストは167話のミシマリのメモからD867 (55399)。

 地上が黒くなり始めてからは加速的にエラーデータが増えるから、真っ黒になるまであっという間。ただ、白いがれきの世界のイメージが強すぎて、ちょくちょく書いてる最中に忘れてたりした覚えがある。

96

 ポリョリョンカ街その1。コランダミー再来回。山ほどの偶蹄目はLlamasoftの今は亡きゲーム『Minotron: 2112』のイメージ。めっちゃ好きだった。

 この時のコランダミーの占いは、本当に未来を見てるのでズルい。でも他の話では手相を見て出鱈目ぶっこいてたりもするので、これ一辺倒ではない。実際、商売の具合としてはどっこいどっこいらしい。フリーハグは、人形の宿命として誰かに抱き締めてほしいからやってる。

97

 ポリョリョンカ街その2。キリウとコランダミーの遭遇回。人形に血糖値など無い。

 コランダミーはときどき人形というか、ぬいぐるみモードになる。そこらへんは完全に雰囲気で、はっきりしたルールは無い。この時はコランダミーが夜中まで隠れて眠っていたのと、キリウがまだコランダミーと親しくなかったからそう見えてた。

 ここのババアとか鳩子さんのせりふは、イドピカでは珍しく女言葉。モブだからあんまり考えずにそうした。

98

 ポリョリョンカ街その3。ラブホでしゃべくる子供回。普通にラブホの意味でモーテルと書いた。

 珍しくキリウが布団で寝てるけど、タオルケットでコランダミーをくるんでしまったので、布団かけてない。コランダミーは、ジュンがそう望んでいたので普通にご飯を食べる。食べたものは、たぶんミシマリの家の井戸のどこかに送られてがれきに返る。

 この絵面が最悪な街は、本当に適当だしゴミ。預言とかお告げってことにしたらどこまで信者が言うことを聞いてくれるか、宗教という形をとって、王様ゲームの延長で火あぶりとかやってる。処刑はエンタメ。

99

 ポリョリョンカ街その4。爆発炎上回。火をつけたのはたぶん37話のパイロキネシスだけど、特に意味は無い。

 皮下脂肪が燃えるかどうかは不明。ひも状のリコリス菓子は、知らない人は調べておいてほしい。171話でも出てくるし。

 コランダミーは味がわからないから、ギトギトのタルトも平気で食える。人形だからハーブは全く効かない。地味にヒロインとサイコアクティブとの関わりはてんでバラバラで、ユコは自分が出したアドレナリンでラリってて、コランダミーは全く効かなくて、I.D.はキメまくりだけどプラセボ疑惑。

100

 列車で二人モノポリー回。ボードウォークはカードの色が青だから使った。缶詰のチェリーは、キリウの瞳の例えの中では一番お気に入り。

 あるいはロリロリ大明神回。コランダミーは人形なので、設定上から美少女。キリウがコランダミーを「ミーちゃん」と呼ぶシーンはどこかに入れたかったが、あんまり真正面からやるとキリウがジュンの代わりになってしまって嫌なので、こういう形で入れた。

 この頃のキリウは視界中に白い虫がびっしり湧いてて、色々と生活に支障が出てる。キリウが相手にまったく興味を持っていない時、虫が邪魔で顔が見えない。本当のところ、キリウはこの客ともっと仲良くしたいと思っていた。

101

 メロロ街その1。倉庫で違法な植物の栽培回。キリウは日陰者街で借金取りをしてた頃から、他人にお金を稼がせるのが得意。

 コランダミーはジュンの話をする時、少しテンションが高くなる。というかジュンの前ではもう少しエモーショナルだったのが、キリウの前では色々と雑になってるだけ。でも人形の仕様的に、持ち主以外の前でそうなるのは仕方ない。

 読み返してみたら、メロロ街はこの債務者と104話で言及されるヤンママとで、レズのモブがかぶってしまった。

102

 メロロ街その2。心霊写真を修整回。持ち主は女の亡霊を消してくれという意図でキリウに修正を依頼したのだが、キリウは間違えて亡霊を生前の姿に修正している。というボケが読み手には伝わっているだろうと当然のように思い込んでいたのだが、実際どうなんだろう。

 コランダミーが言うところの『あっち』が初めて出てきた。あと、コランダミーとたんぽぽを重ねる表現も初出。

 今読み返すと、肝心の「コランダミーにはジュンと同じものが見える」ことにキリウがいつ気付いたのかがはっきりしてないような。この頃の文章はなんとなく舌足らずというか、ぼかさなくていいところをぼかして書いてる感じがするのは謎。

103

 トランちゃんと呼ばれる前のトラン回。地味に、キリウの書き文字が汚い設定が初出。

 薄情なことにキリウは#1の記憶を忘れている。キリウが忘れっぽい理由は結局作中ではっきり書けなかったのだが、身体の中に庭師がいて、キリウが死なないように修正してることが関係してる。ただ、記憶が消えても思い出だけが抜け殻みたいに残ってるから、トランがよだれを垂らしてない姿を知っている気がしたり、140話みたいな夢を見たりする。

 思い出が消えてないから、記憶がすかすかでもキリウはキリウでいられている。だから#3のテストは、キリウを乗っ取るために思い出を破壊してる。

 読み返してみると、#2まででも思い出にまつわるセリフが多い。59話「思い出を作るために生きてくんですね」、79話「一瞬の思い出にすぎんのだ」、136話「思い出さえ必要無くなるんだ」、146話「あたしの思い出」。

104

 コランダミーに占ってもらうキリウ回。

 キリウはカッパだの白ネズミだのと愛し合いたがるが、LOVEがわからないので雰囲気だけで生きている。キリウの「あの天邪鬼!!」は書いた当初は「あの変態!!」だったが、気持ち悪かったので自重。

 前話でも似たようなこと書いてるけど、「善人にも雨は降り、太陽は悪人も照らす」はだいたいキリウの世界観。#2はこれ系の言い回しが多い。お天道様が見てるなんて嘘だし、誰も助けてなんかくれないし、泣いてる暇があったら立ち上がって逃げないと殺される。

105

 粉ゼラチンでラリラリ回。雨水のゼリーで虹を捕まえてるのが地味に前話の続き。当初はミルメークも売らせようとしてたけどやめた。

 川が流れてる。なぜ隙間だらけのがれきに染み込んでいってしまわないのかは謎。川として生成された地形だからとしか言いようがないし、それを疑ったりする不信心な住人もいない。地上に水源が露出してない地域でも、ほとんどの場合は地下に水源が生成されてるらしい。

 この頃のキリウは、コランダミー自体にはほぼ興味が無い。

106

 赤い水溜りの悪夢回。#2のキリウは、なんで生きてるのかわからないくらい死にたがっているが、そのことに気付かずに生きている。実際のところ、キリウの中には庭師の他にも、キリウ自身が心の中で育てた化け物みたいなものもちゃんといる。思春期だし。

 書いててすごく楽しかった。「虫の長い触角が自分のノドを内側から撫でる感覚」が、おぞましくてお気に入り。

107

 ョコヤ街。眼科にいる精神科の女医回。#2は夢というか、現実でないシーンがかなり多い。

 この女医はキリウの中にいる庭師で、キリウが無意識下で、彼女の欠片と彼女に助けられた時の記憶とその他色々なものをごちゃ混ぜにして作り上げた存在。コランダミーと出会って、ジュンのことを思い出したり旅に出たりして、色々とストレスを受けたことがきっかけで現れた。

 #2のキリウは、コランダミーと一緒に居ながらずっと孤独を感じている。コランダミーは女医が言うところの「あたたかいもの」ではない。#2の謎のほとんどは、キリウにとってはどうでもいい。どうしてキリウが死んでないのか、どうしてコランダミーにジュンと同じものが見えてるのかも。

108

 リンゴを食べるのは残酷回。或田さんは大変なものを作ってしまったようです (172話)。

 アップルケーキというか、ニュアンスとしてはアプフェルクーヘンの方 (何が……?)。愛玩用になってしまったリンゴは不味い。甘くなる理由も酸っぱくなる理由もなくしてしまったから。

109

 アップルケーキを食べるコランダミー回。キリウはコランダミーが味がわからないことに気付いたわけではないが、そのアップルケーキが不味いことはよく分かっているから、嘘つきだと言った。

 実際、キリウはコランダミーの目に見えてるものには興味が無い。168話で改めて言ってるけど、キリウはジュンの目に見えてるものにも興味は無い。キリウが気にしてたのは、ジュンと自分とに違うものが見えてて、そのせいで精神的に隔たりがあったという事実そのものであって、それが何であるかはどうでもいい。

110

 微妙に文学ぶった文体。なんだろう。キリウが落ち着いてる場面は電波が弱い。

 この話は、サイト上にアップした日付が前回から半年も開いてる。それだけなら103~104間もそうだけど、ここからはわりと本気で完結させようと思って再開したので、これ以後で突然出てきたり明言され始めた設定が多い。

 と言っても、この頃はまだ「最果てにコランダミーを作った奴がいる」「キリウはテストに乗っ取られてコランダミーと別れる」「最終的にキリウが世界を壊す」程度にしか決めてなかった。あと、コランダミーはキリウの目の中の虫に食われて死ぬはずだった。

111

 夕顔街。ハナノハラ線は、近くの電波塔が誰にもメンテされなかったことでおかしくなり、一帯もろとも他者から認識されにくくなってしまった路線。世界の辻褄合わせの性質により、廃線ということになっていた。鉄道オタクがかつてのハナノハラ線を覚えていられるのは、少年の心を持っているから。子供には電波が効きづらい。

 神隠しは、電波が薄くなった場所に迷い込んだ子供が帰れなくなったことで起きる。大人は電波が薄いところは認識できないので、そもそも迷い込んだりしない。子供が迷い込んでも、認識できないことの方が優先されるのでろくに探すことも無いまま、世界の辻褄合わせで神隠しということになる。神隠しに遭った子供は、たいていは電波が届かないところに長居して消滅してしまう。

 コランダミーが疲れなかったり、本を読むのが異様に速いのは人形だから。ただ、キリウが『持ち主』じゃないから微妙にボロが出てる。人形たちは自己防衛の一環として、電波が届かない場所を怖がるようにミシマリから教育されてる。

112

 〆野街。或田さんのブラックボックスの例の通り、電波が届かないオブジェクトは透明な水になってしまうので、街が溶け崩れている。道端に異形のネズミの死骸が落ちてるのはパルミジャーノん君の連想。

 白い虫がいないのは電波が届かない場所だから。トランが元気なのは電波が薄いから。キリウが変なのは電波が届かない場所に長居したから。キリウが電波塔の調整をしたから、ハナノハラ線は元に戻った。

 ペンデュラムでダウジングをするコランダミーがお気に入り。なんかかわいい。

113

 列車の窓からコランダミーと黒いがれきを見るシチュエーションは46話と同じ。

 白いコピー用紙の束は、分かりにくいんだけど111話の図書館で取っていたコピー。ハナノハラ線が廃線ではなくなったことで、記録自体が消滅してしまった。

 キリウにとってのコランダミーはどうしてもジュンの友達 (えんじぇる) という認識が強い。これは一応、根幹のところは最後まで変わらない。コランダミーのほっぺが冷たく感じるのは人形だからだけじゃなくて、キリウにとってあたたかいもの (107話) ではないから。でもこの話のあたりでは、キリウはひとりの友達としてコランダミーと付き合えるようになり始めてる。

114

 遺失物取扱所。サブタイトルはゲーム『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』の歌『ALMOST DEAD』から。というかそれの収録アルバムのタイトルが『LOST AND FOUND (遺失物取扱所)』。まんまですね。

 微妙にキリウがトランのことを「友達の友達」と言っている。この後も140話で仄めかしてるが、キリウはトランのおかげでユコ (とルヅ) のことを微かに覚えてる。コランダミーはジュンの友達で、トランはユコの友達だと無意識で思い込んでるから、#2のキリウは精神的にちょっと孤独。

 コランダミーは周りの人に電極を打ち込んで言うこと聞かせてる (132話)。最初に銀色のリンゴを送った時もそうしてた。

115

 ザリガニ釣り回。この街のザリガニは青灰色。プチトマトで魚が釣れるのはマジらしい。

 キリウは107話で女医に言われたことを守って、魚の血を見ないようにしてる。これはけっこうキリウが頑張ってて、130話まではほとんど血を描写してないはず。が、生活自体は微塵も変えてないせいでやっぱりどこかしら歪みが生じてて、血の代わりにトマト絡みで気色悪い描写が増えていく。

 川を辿っていって、海に着くまでを書きたかった。

116

 アルメロニカあるいはゴラッソ登場回。コランダミーの鞄に入り込んじゃったトラン。

 何度か出てくる『井戸』は、156話でちらっとだけ書いてるけど、実際にはミシマリの家のかなり地下に位置してる閉鎖領域。人形たちに与えられた保存用の空間で、鞄からワームホールみたいにアクセスできる。

 ハチミツまみれのおろし金はPCゲーム『Terraria』のノリ。負けると死ぬトレーディングカードゲームは遊戯王。ペンデュラムは112話で使ってたやつ。トケイソウは、子供の頃に初めて見てめちゃくちゃ気持ち悪かった時のことを思い出してた。

117

 アカネ街その1。難病という扱いで、永遠の少年=『全般性成長障害』の患者が公に支援されてる街。

 キリウは病んだ餓鬼なので親切にされると落ち着かないし、爪に噛めるところが無いと不安になる。コランダミーに妙に権利意識があるのは、たぶんジュンがそうだったから。キリウは悪事に関してはやる気があるけど、まっとうな手続きはまったくやる気が出ない。ジュンはだいたい逆。

118

 アカネ街その2。水曜日はヤマテ氏の回。ヤマテ氏はたまたま18歳そこらまで成長できた永遠の少年で、アカネ街の子供たちの中ではまとめ役だけど、いろいろ苦労もあるらしい。

 アカネ街の支援制度自体はいたって真面目なもので、しれっと永遠の少年の安楽死を認めてたりはするけど、行き場の無い未成年者から搾取するようなものでは決してない。未成年者が運営してるネバーランド・ラジオのノベルティがマッチなのは謎。不良っぽい集団なのかも。

 キリウのヤマテ氏への当たりが酷い。でも、ヤマテ氏はそれ以上に別ベクトルで酷い。実際、サイコ気味な人物として作った。ただ、左寄りっぽくて活動家気質なこと自体はそれとは無関係。キリウはあんまり話を聞いてないけど、一応伝わってはいるので、白い虫の向こうのヤマテ氏の顔を見ることはできた。

119

 コランダミーはひとりでも大丈夫回。実際、コランダミーは自動修復するので、粉々に破壊されなければいつかは『あっち』に着いてたかもしれない。それまでにミシマリは死んでただろうけど。

 コランダミーはバグのせいで『持ち主』がジュンのままだけど、ジュンがもういないこと自体は理解してるから、ただただジュンに似てるという理由でキリウに懐いた。キリウもコランダミーがジュンの友達じゃなければ興味は無かった。そのままずるずる旅を続けてきて、ここらへんはとても微妙な時期。

 このあたりからキリウが天使の幻覚を見始める。165話冒頭で書いてるように、人形には自分から持ち主とのリンクを解除できる機能がある。だからキリウが本気でダメ人間になって、コランダミーを自分のものにしたいと願っていれば、とっくにコランダミーの持ち主は再設定されてたはず。でもキリウは、最後までジュンにとっての天使の幻覚を見続ける。

120

 トランがネコとしゃべる回リターンズ。

 ハラスメント・伊達巻・核兵器・ダンゴムシなど、近年のこのサイトのテキストの頻出ワードがそろい踏み。あと面倒くさい人。このネコは面倒くさい人。

121

 イトシラズ街その1。海を目指してメトロポリタン回。ビル街で大はしゃぎするキリウ。コランダミーの菓子のチョイスはやや和菓子寄り。

 街中に電波塔が三本も立ってるくらいになると、それはそれはでかい街になる。それくらいでないとモノレールなんて不思議な乗り物は作れない。目が無くて身体が長くて脚が十本ある動物は、このあと128話でも出てくる。

122

 イトシラズ街その2。初めて見た海は汚染されて灰色だった回。この世界には海がある。

 ここの赤いのはイチゴなので、キリウはやっぱり血を見てない。例によってコランダミーは味がわからないので、キリウから苦いとか言わない限り、汚染された海水が口に入っても何とも言わない。コランダミーが持ってるナイフは99話のものかもしれない。ナイフは標準装備。

 久しぶりに歌詞が出てきた。また核というか、なんか最近のテキストは核兵器っぽいワードが多い。書いてるとき、脳内では坂○冬美が歌っていた。作詞者がダジャレ (津久田仁 → つくだに) なのは、作詞家と言えば阿○悠を連想したから。なんだそれ。

123

 日刊虚言プランターその3。ロックからノイズからナードコアまで雑食。

 またトマトの話してる。「核の傘より月の暈」はEちゃんっぽくてお気に入り。Eちゃんは永遠の少年ではないので、喋り方が少し#1の頃から変わってる。こういう感じだから、キリウはいわゆるリアコになってしまった。118話で「一線を越えた感情」って書いたけど、LOVEが解らないキリウの一線は謎。勝手に意味不明な線を引いて、勝手に意味不明な方法で越えてる可能性がある。

124

 秘密の質問回。でも秘密の質問って結局回答が似たり寄ったりになってしまって、セキュリティ的に微妙という調査結果もあるらしい (参考)。

 旅人らしくゲストハウスに泊まってる。キリウは自分一人だったら屋根が無いところでも寝られるけど、コランダミーがいるのでちゃんとしたところに泊まってる。あとは、地図とか転送の話を小出しにしておきたかった。

 キリウはジュンと違って収集癖は無いけれど、半年くらい住んだ街から出る時とかに持ちきれない荷物をまとめてロッカーに放り込むので、ロッカーキー自体は何枚も持ってる。が、一度しまったものは取り出さないし、忘れっぽいから毎回新しいカードを作ってしまうので、こんなことになってる。

 季節の概念が辞書上にしか無い世界で『夏炉冬扇』は謎。

125

 夕暮れの夢回。珍しく悪夢じゃない。

 #2の本筋はコランダミーの旅だけど、それ以外はだいたいキリウのカウンセリングなのかもしれない。探すべき自分も無いまま目の前の問題を片付けながら生きてるけど、なんとなく自立したがってる。でも自立がなんなのかよく分かってない。存在を証明するために生きてる。でもどうやって証明すればいいのかわからない。自転車を虫が漕いでて、後ろにキリウが乗ってて、虫が飛び去ったらキリウは転ぶ。

126

 麦わら帽子回。しれっと綺麗な青い海が出てくる。本当に欲しいものは、意識してない時にふと手に入るらしい。

 キリウは身体の中に庭師がいるからか、無意識に電波塔を守る方向で行動している。「モノグロの油で電波塔を煮ると食える」という与太話の元ネタは、「トラの油で竹を煮ると食える」という趣旨の高知県の民話。子供の頃に読んで、妙に記憶に残ってる話だった。

 キリウが深淵から見つめ返すアルバイトをしている。以後、深淵がどうこうという言い回しは、なんかたびたび出てくる。

127

 トマトで世界が釣られる回。コランダミーの占いは「探し物はゼロより下にあるでしょう」だけ当たってる。Y座標的な意味で。

 他人の人形と一緒に居すぎたことや、諸々のストレスでキリウがおかしくなり始めてる。コランダミーのことを天使だと思ってるし。ここから数話は132話でキリウが爆発するまでの準備。

 冒頭の悪夢は、エラのある生き物の痛みを想像しながら書いた。痛覚無いらしいけど。

128

 トマトで釣られかけるキリウ回。砂糖派のトマトのパンチラ。

 夢と現実の混同っぷりが悪化して、106話の悪夢では人形だったコランダミーがフワッフワの天使の姿で現れた。これのせいで、コランダミーが天使に見える時、キリウは現実も侵食されてる。

 天から釣られた巨大トマトに虫をけしかけて引きずり落とすメソッドは、後に#3で星を引きずり落とすのに応用された。というか、白い虫がしれっとキリウの思い通りに動いてる。

129

 もうどこからどこまでが夢か現実か判らない。前話でトマトが落ちたツツジ園が陥没したという記事が載った新聞を読んでるけど、あまり意味は無いし、このシーンも半分くらい夢かもしれない。

 キリウは血を見ないようにしてるのはいいけど、代わりに身体の中からトマトが滲み出してくるような悪夢を見る。この悪夢は陰惨な感じがしてお気に入り。

130

 花火大会。191話で言ってる通り、キリウは花火大会をちゃんと見たことが無い。

 この話は全部現実。コランダミーが見えないウサギを追いかけていっちゃったのも現実。街の外側のがれきが真っ黒なのも、人が死にまくってるから。でも全ての命に占める人間の割合ってカスみたいなもんじゃないの?と思ったから、複雑な生き物だとエラーが出やすいということになってる。適当すぎ。

 コランダミーが拾ってる迷子札は、いわゆるドックタグ。

131

 サブタイトルはノリでつけた。天使だの黙示録だのキリスト教っぽい単語を出鱈目に使ってるけど、途中からどうでもよくなった。

 この話も全部現実だけど、キリウは夢だと思ってるし、赤いリボンとかちょっと幻覚見えてる。キリウが血まみれなのは、時系列的には132話の後のシーンだから。

132

 キリウ大爆発回。血を見ないなんて無理だった。

 破裂した目から白い虫を潜り込ませて脳みそをブチ抜いたのは、キリウが致命傷を負わないと爆発できないからだけど、ノリで書いたから細かいこと気にしないでほしい。庭師がキリウを殺すわけないから、これはキリウが自分の意思でやった。#1の頃のキリウは白い虫に単なる嫌悪感しか抱いてなかったけど、#2のキリウはそうでもない。

 コランダミーは、そもそも「綿が詰まってるお人形」ということ自体が製品的な人形としての設定でしかない。時々ぬいぐるみに見えるのも、「実は正体はぬいぐるみ」という設定だから。本当は、周囲の認識をそんな風に捻じ曲げる機能 (163話の『ヒーリングマグネット』) が搭載された人造人間。

 書いてた当時はここまで数話の流れというか必然だと思って書いてたけど、読み返してみると目ん玉潰れるわ吐くわで惨たらしいシーンだった。

133

 眼科にいる精神科の女医再び回。もはや眼科ですらない。

 キリウはアクターとして保持してるカウンタがあっちこっちオーバーフローしてるんだけど、この女医≒庭師が都度直してくれてるから壊れずに生きてる。

 キリウのIDが552171000001なのは、「ここにいない (552171)」の語呂合わせ。非実在電波少年だから。

134

 図書館ではお静かに回。サブタイトルは司書だけど、出処は小説『メトロ2033』に出てきたロシア国立図書館のミュータントの名前。

 女の子に囲まれてるトランにじゃなくて、トランに嫌われてないコランダミーに妬いてる、クソ面倒くさいキリウを書かねばならなかっただけの回。この話、特に図書館のくだりは、なんでこんな妙なものを書いたのかよくわからない。

135

 メカバレとデリカシー回。122話でもだけど、キリウはコランダミーに失望されるのがとても若干怖い。実際に失望されたことなんか無いのに。

 初登場時からしれっと言い続けてきた『人形少女』に今更ツッコんでいる。コランダミーは調整のために耳から機具を入れていた。何の調整かは不明。

136

 自立の薬回。作中で一番詳しくキリウの考えてることを書いた気がする。

 118話以外で出てくるヤマテ氏はどれもキリウの心の中の存在で、実際のヤマテ氏がここまでイカレポンチなのかは不明。出会った時の印象が最悪だったのでこんなことになってるが、あの後キリウは一回くらいヤマテ氏のラジオを聴いたのかも。

 永遠の少年の精神年齢が外見に引っ張られている説も出処・真偽ともに不明。少なくともキリウは最後まで何も変わらなかった。

137

 目無しのミッチェル君回。でも、年がら年中無かったら砂埃が入ったりして嫌だから、普段はエイトボールでも詰めてるんじゃないだろうか。

 キリウはひとりだったら平気で外で寝る。キリウが訛ってるってのは、文面だけじゃ分からないことをいきなり言い出したら面白いから言わせただけで、特に意味は無い。関係無いけど、語尾に「じゃん」を使うのはキリウだけ。

 作中で悪し様に書いたから言い訳しておくと、筆者はマカロンは嫌いではない。どちらかと言うと、甘すぎるマカロンと真摯に向き合わない奴が嫌い。

138

 なんかそういう歌みたいな回。サブタイトルが切実。

 ただただキリウが二進も三進もいかなくてしんどいだけ。キリウに見えてる世界。

139

 うっかり野生に帰りかけるトラン回。「おともだちだよ~」はあざとい。

 キリウが自分の不甲斐無さで泣く。#1のキリウもユコとジュンの前で泣いてたけど、あっちは泣いてもいいと思ってる人の前だから平気。でも#2のキリウはコランダミーの前で泣きたくなかった。状況的には132話がどん底だけど、精神的にはここがどん底。

 コランダミーは高性能だから、知らない言葉を解析して真似するくらいなら余裕。モノグロの声を人間が聴こえる周波数帯に調整すると『#%@※』になる。

140

 血まみれ列車の悪夢回。夢の中で自殺する。これ以降のキリウは、コランダミーを『あっち』に送り届けること以外はあんまり考えてない。キリウにとってコランダミーはジュンの友達で、聖域みたいなものだと思っているので、何かと隔たりがある。

 死体は全部キリウの思い出の中のもの。足をひっかけたのはルヅだし、トランが寝てたのはユコの膝の上。トランの居場所だって本当は自分の隣ではないのだとキリウは心のどこかで思っている。

 リンゴを食べるシーンは入れたかったので入れた。異常な場所に置いてあるものを食べるのって囚われる感じがする。

141

 えんぴつ回。キリウがジュンと居た頃の話はどこに入れようか迷ってたので、書けてよかった。

 キリウは悪いことするの平気だけど、良心はあるし、悪いことしてる自覚もある。ジュンは悪いことするの平気じゃないし、良心もあるけど、悪いことしてる自覚を持つのがすごく怖い。実際のところ、どちらもやる時はやる。

142

 黒い雪のポストアポカリプス回。本文中で名前が出てる『METRO 2033』は実在する小説で、核戦争後のモスクワメトロが書かれてる。その作中で主人公が謎の中年2人組と出会うシーンがあって、それのオマージュのつもり。本当に影響受けたので (56話解説)。

 9A0年とか言ってるのは本当で、すごく過去に滅びた地上がどこかにキャッシュされてて、そこに迷い込んじゃった感じ。イドピカの世界は何度も再生成されてて、そこらへんは172話で回収した通り。

 過去の世界だから、56話でちらっと書いたように路線名と駅名が数字。と思ったけど、駅名が数字とは書いてなかった。キリウが言った「ヨンマルク線の珊瑚駅」は、たまたま名前が数字だったから突っ込まれなかった。

 クアッドリウムは適当。四重水素があったらクアジウムかなと思って、もじった。

143

 白い雪の日に喋ってるだけの回。この世界は、比較的寒いところに限って雪がそれなりに降ったり降らなかったりなイメージ。雪の戦地の話は118話が初出だけど、あんまり意味は無い。

 永遠の少年は時間の使い方がデタラメなので、旅しつつ割と各地に留まってる。キリウはまともに生活するの耐えられないし、耐えられない自覚があるし、耐えられないだろうとジュンにも思われてる。ジュンはまともに生活するの耐えられないけど、そんなの考えたこと無いし、キリウにも想像されたことが無い。

144

 電波ゆんゆん回。本当に電波受信してる人とか電波送信してるって一線越えてる。

 後にやらかす『全植物シンセサイザー化計画』が初出。「婚姻人(こいびと)」は書いてなんだけど寒気がする。鰹節の大袋をなくしたのは142話であげちゃったから。

145

 LoveとLikeの狭間回。ジュンは女の子が好き。

 上のどこかで書いた通り、キリウはLOVEとLIKEの区別がつかない (9話解説)。ジュンはつく (46話解説)。が……、実際には他人からどっちを向けられるかの方が大事なのかもしれない。

146

 コランダミーの思い出回。ドラム缶を蹴ってるのはアルメロニカ。

 十字架は#2の最初にポリョリョンカ街で拾ったもの。168話でミシマリは、過去の『持ち主』にまつわる記憶以外は入れ替わりで消えると言ってるけど、実際のところコランダミーはオカルトグッズに関することはけっこう覚えてる。人形としての設定がオカルトキャラだから。

 キリウは、本当は誰かが自分のことを覚えていてくれることに幸福を感じる。ジュンが生きてた頃に元気だったのも根底はそれ。ただ、基本的に他人より長生きだから、その自覚は無いし考えたことも無い。

147

 ゾンビ回。ジュンの目の前で初めて爆発した時のキリウ。

 何かとバンドを組みたがる。キリウがどのパートをやってたのかが不明。書いてるときは気付かなかったけど、今見るとジュンはやたらと本を読んでたり気にしてたり書きたがったりしてて、たぶん本が好きなんだと思う。

148

 どうしても書きたかった話。キリウはコランダミーに近づくことができない。

149

 ナマズ様回。とうとう夢の中で死体になる主人公。

 ヤマテ氏は、書いてたらいつの間にかカッパになってた。ミッチェル君は、書いてたらいつの間にかちっちゃくなってた。でも#3でいい感じに二人とも使えたからよかった。逆さまの少女は118話のアカネ街の天使。

 限りなく最初の記憶に近い女医、もとい庭師が出てくる。#3でキリウが廃人化することは決まってたから、正気のうちに出しておいた。

 キリウの中の庭だから、赤と青の花としてアジサイを使った。ずっと使いたかったので使えてよかった。

150

 星空の記憶回。150話も書いてようやく5話47話からの話を回収し始めるロングパスっぷり。しかも、ここから更に203話まで行かないと回収しきれないグダグダっぷり。読んでた人はどう思ったんだろ?

 寿命を終えて落ちた『星』が、たまたま燃え尽きずに地上にぶつかって、Y軸の境界外まで到達する穴があいた。そこにキリウが落っこちた。地上から消えたものは、世界の辻褄合わせで「いなかった」ことになる。これはハナノハラ線の神隠しと同じ。でもキリウは庭師が地上に戻してくれたから帰ってこられた。そのとき、庭師の手違いで髪が青くなった。

 キリウの髪の色が変わったことで、少なからず双子の関係性が変わった。

151

 火葬タワー。クリスマスツリーみたいなもん。

 電波塔の監視員が数字を直接修正するようになったのは、時代の流れ。たぶん庭師が忙しすぎて対応できないから。人がたくさん死ぬとがれきが黒くなるのも本当。

 キリウは死後の世界を信じてない。死後、あの世でよろしくやってるという考え方を嘘でもできないから、納得いかない死別をした人たちのことを本当はいつまでも引きずってる。身体の中の庭師が、物理的に抱えきれない記憶を消してくれてるから潰れてないだけ。

152

 別れ話の回。ここ日陰者街。

 キリウよりジュンの方が人間くさいというか、少し逃避的な傾向をしている。

153

 えーてりばり回。幻覚見えてるけど特に問題は無い。

 一応、エーテルという単語の初出は77話。エーテル転送という単語の初出は102話。ただ、ポッと出感が否めなくて、ちょっと申し訳ない。

154

 人形としてのコランダミー回。コランダミーの鞄に入って転送されてる最中。

 アルメロニカが言ってる「肝心の立場がぜんぜん違う」ってのは、人形の正規の『持ち主』であるか否か。「ひとり前」ってのは、今の『持ち主』がジュンだから、ジュンの前にコランダミーを所有してたのがサニー。

155

 転送局をサーチ回。コランダミーの鞄の異空間に入っていれば鞄ごと生き物を転送できると気付いたキリウが、『あっち』方面に向かってひたすら自分たちを転送し続けているところ。

 暗黙的に世界の果てが存在しないことが前提だから、現実のDNSみたいに頑張って名前解決しない。『アドレス解決』はアドレスを座標に直してる仕組みのことで、なぜかこの世界で当たり前のように使われてる。でもたぶん、ほとんどの人は座標というものを認識はしていない。

 サブタイトルだけで満足したというか、ごちゃごちゃ書いてるわりにあんまり意味は無いけど、キリウの性格がわりと出てると思うので個人的に好きな話。

156

 転送しすぎちゃった回。コランダミーが上を指差した理由は116話解説を参照。

 負の座標に生成された、実在しない (存在できない) 街の転送局に誤って自分たちを転送してしまった話。でも、そんなとこに街があるのはジュンが魔法で観測しちゃったせい。ゼロの向こうの街は、イメージ的には『百億の昼と千億の夜』で『ノヤの公式』と呼ばれていた幻の街。

157

 帰還の回。ここらへんはノリで読んでもらえれば大丈夫。

 エーテル転送は、エーテルが同期する性質を使ってるらしい。こっちにあるものをそのままあっちにビビビッとやるけど、移動した先で果たして同一性を保っているかは不明。

 鞄からスパイクが出てきたのは、アルメロニカもといゴラッソ繋がり。ゴラッソだから。

158

 日刊虚言プランターその4。123話の時点で確定してた運命とサブタイトル。

 送り付けられたのがマンドラゴラであることは175話で書いた。ロリータXの正体は、当初は例の悪魔にしようかと思ってたけど、安直すぎる気がしたので単なる一リスナーにした。悪意の有無も不明。スッキリしない終わりにしたかった。

159

 もうちょっと頑張る回。キリウからラジオを取り上げるのは書いてて辛かった。

 キリウは#2の旅で、曖昧にしておけばよかったことをはっきりさせたり、掘り返さなくていいものを掘り返したり、見つけなくていい自分を見つけてしまっただけなのかもしれない。

160

 ようこそ最果て回。ここからの冒頭はミシマリの日記。

 ミシマリたち最果ての住人は、白いオブジェの形をしたテスト (御神体) からレコード (アカシックレコード) の読み取り権限を分け与えられて、この世界について独自に調べたり、その過程で手に入れた技術で社会貢献を行ったりしてる。街全体が研究所みたいな感じ。トランの様子がおかしいのは、モノグロが非正規な生物ゆえ、読み取り権限を持ってるミシマリに怯えてるから。

 レコードは、現在の世界の状態が積み重なったデータ。掘り起こせば過去が分かるし、現在のものを書き換えれば世界を書き換えたことになる。この世界は現在の状態から次の状態を計算して、新しいレコードを生成していく。整合性が取れなくなると、現在に合わせて自動で過去が改変される。量が多すぎるから、目的のものを引くにはコツがいる。

 コランダミーの型番XD-123は、XDが顔文字であること以外は特に意味は無い。英語圏のやつ。

161

 製造者のミシマリ回。レコードが読める人は生き物のIDを識別できる。

 ミシマリのセリフは読み飛ばしても一応大丈夫。ミシマリは実際に頭がおかしくて、あんまり好ましくないキャラとして書いた。いわゆる悪魔で、広義のロリコンで、研究者・技術者としてのプライドを持っている。化粧が濃かったり髪の毛が作り物だったり黒い汁が出たりするのは、オーバーフローしまくって壊れかけの身体を、そうとは知らずに直しながら頑張って生きてるから。

 コランダミーが健やかであってほしいと願っていたのはジュン (40話解説)。

162

 壊れかけのミシマリ回。テストが投棄された時期が不明瞭なのは、例の悪魔がテストを捨てる時、その前後のレコードをガチャガチャにしたから。

 正規の『持ち主』じゃないのにコランダミーを連れ回していたキリウを、罪人のごとくミシマリが拷問している。人形は死んだら『持ち主』がいないフリーの状態になるはずなのに、ジュンが変な死に方をしたせいでフリーにならず、それが原因でコランダミーは内部エラーを起こしていた。ミシマリはコランダミーの現在の『持ち主』のID (ジュンの値) がキリウと連番だったから、キリウが何か変なことしたのではと疑っていた。キリウが吐かないなら、何日かけてでもレコードを読み漁って原因を判別するつもりだった。

 指から飛び出すケーブルは、人形が自分の身を守れるように搭載されてる機能。打ち込んでビリビリってやると、みんな言うことを聞いてくれるらしい。

 キリウは作中で何回か眼球を怪我するけど、全部左目。なんとなく「主人公がやたら同じところに傷を作る」という謎の記憶があって、わざとそうした覚えがある。右目は傷つかないけど、たまに取れる。

163

 バグ検証回。最果てと言ってもX座標がゼロのとこに近いだけで、Y座標ゼロの最果てとか、実は上限もあるかもしれない。モノグロはその外側でも生きてられる、というかそっちの方が電波も届かないから元気。

 そもそもこの世界自体に、電波塔くらいの高さからまっすぐがれきの上に落ちると境界外に突き抜けるバグがある。それだと正規の死亡判定ができなくて、ミシマリの人形の仕様だと『持ち主』状態が解除されない。ただ、境界外に出た生き物を回収するモジュール (77話) も別に存在するので、しばらく待てばちゃんと死亡扱いされるはず。ジュンだけそうならなかったのは76話で蹴っ飛ばしちゃったから。ミシマリの実験で再現できなかった点はそこ。

 ジュンは境界外に出たけど、コランダミーから『持ち主』として参照され続けてるから、世界の辻褄合わせで「かつて存在したこと」そのものまでは消されてない。辻褄合わせはどこからも参照されなくなった隙に行われるから、コランダミーが存在しなければ、本当はキリウもジュンのこと忘れてたのかもしれない。

 人形には持ち主と同じものが見えてる。コランダミーは死んだジュンが見てるはずだったものを見てるわけで、実際のところ、いったい何が見えてるのかは不明だったりする。

164

 ミシマリの旦那回。ジュンが魔法で観測したせいで、ゼロの向こう側に実在しない街がめちゃくちゃ形成されている (74話解説)。

 例によってキリウが白い虫に囲まれて安らいでいるのは、自分より酷い人間を見て相対的に自分を肯定できてるのかもしれない。あと、やっぱり布団で寝られない。

 ミシマリの旦那は人形らしく素直に作られてるけど、その上でミシマリのことを好きなのは本心。眼帯をしてたり片脚が無かったり (166話) するのは、ミシマリがたまに八つ当たりして壊すから。だから「人形ではないあなたに~」と言っている。

165

 コランダミーとお散歩回。この街は大学のキャンパスくらいの大きさ。サファイアとルビーは、青と赤だし、コランダム (硬玉) だから記念に使った。

 キリウがコランダミーと綺麗に別れる理由を考えたら、これ以外は思いつかなかった。

 ねじれた白いオブジェは68話で捨てられたテスト。例の悪魔に書き込み権限 (キラキラしたもの) を抜かれたあと、練習台にグシャッとされてここに遺棄された。だから162話冒頭で「かつては人間だった」と言われてる。

 グシャッとされただけで殺されなかった理由とかは特に無い。例の悪魔が杜撰だっただけ。

166

 電波障害回。でも電波障害はノリで書いたから、正直よくわからない。

 サブタイトルはアジサイの花言葉からキリウっぽいものを抜粋した。語感のために浮気→浮気性に盛った。

 通常、地上の生き物は電波塔のこととかこの世界のこととかは、電波に弾かれてしまって考えられないはず。最果ての住人たちはテストにそそのかされて、最寄りの電波塔をちょっといじってそれを破ってる。でもテストの本当の目的は、そうやって適当な人たちを深入りさせて、なんかの拍子に動ける身体を手に入れること。

 キリウに入り込んだテストがレコードの読み取り権限を持っていたせいで、トランは否応なくキリウを拒絶するようになった。トランは身体が小さいうえ知能が低めなのもあって、追いかけてきたキリウに恐怖しか感じず、本気で首元をズバッとやってしまった。

 ミシマリはときどき頭の花がとれて少し落ち着くらしい。というのは逆で、落ち着いてるときは頭に花を乗せていなくていいらしい。

167

 冒頭の日記はストーリー上でごく最近書かれたもの。

 キリウに入り込んだテストがレコードを読んでる。ノイズが入ってるけど、ミシマリとユーヂラの話は実際にあった出来事のはず。モノグロの身体の一部を自分の肋骨に移植したユーヂラは、人間とモノグロの感覚が混ざるようになってしまった。

 テストが言ってる「あの子」は庭師≒女医。例の悪魔に書き込み権限を盗られたテストは、この世界の仕組みをよく知ってる以外にはただの人だから、入り込める対象はごく限られてる。壊れかけのミシマリとかなら隙間から入り込めるけど、壊れかけだから身体を維持できない。ガタガタだけど壊れないキリウは入り込むのに都合が良かった。

 テストは、キリウに読み取り権限を付与した後で隙間から入り込んで、自分の内部領域をキリウのものに結合した。あとは白いオブジェだった頃の自分が持ってたレコードをキリウの中から読めば、実質的には全部持って移動したのと同じ。ただ、入り込んでも自分で動かせなきゃ意味が無いから、テストはキリウを乗っ取りたい。でも、元のキリウにやる気があるうちはたぶん無理。

168

 さよならエンジェル回。ミシマリは最終的に、装飾品や花の形をした機具を作って使うようになった。

 ミシマリはコランダミーの『持ち主』の設定を削除する作業をしている。110話解説で少し書いたけど、#2を書き始めた当初、コランダミーは死ぬ予定だった。死ぬというか、このシーンでミシマリがコランダミーの『持ち主』をキリウに設定したせいで、コランダミーが白い虫に食い殺されてしまう予定だった。言い出しっぺはミシマリで、コランダミーは乗り気で、キリウは迷ったままで。#3までにキリウをズタボロにするにはそれが必要だと思ってた。でも実際に書き進めるとどうしてもそういう感じにはならなくて、最終的に今の形になった。

 最後の「自分の意思で変えられた結末は」というのは、むしろキリウが何も変わらなかった (コランダミーを受け入れなかった) からそうなったんだけど、筆者的には本当にキリウに話を変えさせられた気がして不思議だったので、ちょっとメタっぽい意味を込めた。

169

 誰のものでもないコランダミー回。コランダミーのワンピースは164話でミシマリの旦那が縫ってたもの。

 白いオブジェが砕け散ったのは、テストがキリウの中に移動して抜け殻になったから。選択権は無かったけど、実際のところキリウとしてはコランダミーと別れた後は生きる目的が無いから、どうしてもと言うならテストの話を聞いてあげてもいいかなと漠然と思っていた。

 キリウは146話154話のやりとりがあったから、コランダミーなら自分とトランのことを覚えていてくれるだろうと思って、トランのしっぽをコランダミーに渡した。キリウは、自分は全部忘れてしまうし失くしてしまうだろうと思っている。

死に設定たち

本筋に関係無いし、知らなくてもまったく支障は無い。

ネット

 この世界にはネットがある。ラジアントネットといって、線路と一緒に回線が引かれてる。世界が広すぎるから、応答が無いことを前提とした設計になってて、あんまり離れた路線同士だと通信できない。

ナポポリ=タタン

 6話に名前が出てきた料理研究家。

 元コスプレイヤー。料理ブロガーに転向したことで人気を博して、子供向け番組でナポリタンのかぶりものをして料理コーナーを受け持つまでになった。が、そのときネットで過去のきわどいコスプレ写真が物議をかもして、そのせいではないが番組も半年で終わってしまった。ブログはときどきコスプレ写真を上げれば過去を知らない読者から「迷走してる」「調子乗ってる」だの言われ、料理記事を上げればコスプレイヤー時代からのファンからネチョネチョしたコメントがつき、大衆人気はアップしても局地的にはクソみたいな状態だった。

 トマトケチャップのオーバードーズによって自死。享年27歳。

サイバーマリモネット

 57話, 65話, 175話に名前が出てきたバンド。#1の時期はだんだん知名度が上がってきていた頃。

 音楽性の中心はメーソン/メーランきょうだいのシンセで、リーダーはメーソン。ボーカルでフロントマンのポピ・アレキサンダル氏は若者のカリスマだが、バンドにはインスト曲も多かったので専ら踊っていた。ベーシストは名前が出てこない。リズムは打ち込みなのでドラムはいない。

 メーソンがバンド名義の楽曲を日刊虚言プランターに投稿していた疑惑がある。日刊虚言プランターでやたらと流れたことをきっかけに存在感を増してゆき、そのうち映画タイアップのラブソングでヒットし、一時はヒットチャートの常連になる。

 後年、顔がキモイという批判をずっと気にしていたメーソンが整形中毒に陥ったことをメーランがネタにしたのがきっかけで不仲となり、解散した。