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41.日刊虚言プランター

 聴こえますかハローCQ、本日こちらは曇天なり。

 こんちは不特定多数のバカども。今日も今日とて世界のキャッシュを食い潰していきます、D.J.E.A.の日刊虚言プランターです。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 えー早速ですが実は今回、相方が食あたり起こして寝込んでるから、オレひとりで頑張らざるをえない。声だけだとね、みんな忘れてるかもしんないけどオレの相方は骨精霊なんですよ。本来骨精霊ってやつは、モノを食べなくても生きてける生き物らしいが、アイツはオレのマネをしてモノを食べるからな。クワガタムシを食ってノドをいためたらしい。

 だがよく考えたらそれは食あたりでもなんでもないな。

 まあ、そもそも野生の骨精霊なんて見たことあるヤツの方が少ないかもしんないけどな。なにせドがつく希少種だし。この場合のドはドラゴンゾンビのド。

 さて、ほんとにオレがピンで半日も喋り続けると思ったか? べつにいいけど、オレは自分のノドと労働法でトラブルを起こしたくないんでね。というわけでゲストを捕まえてきたから無問題です。紹介します、そのへんを歩いてたヒマそうな悪魔さんです。よろしくお願いします。

「#%@※(なんだか知らんがお世話になります)」

 この方は、世間で悪魔悪魔と呼ばれてる大人にならないだけのガキどもとは違うそうだ。正真正銘、本物の悪魔だとか。スゴくない? というかオレは、ああゆうヤツラを悪魔と呼ぶのには反対っすね、ワルってほどじゃないとおもうし、かわいそうだから。別の呼び名が思いついたら七年後に誰か教えてください。

 さて本日のテーマは『暇つぶし』。いいかげん何百回論じたか分からないテーマだけど、こんなラジオを聴いてる皆様は例外なく救いようのない暇人だから……。ほんとはそういうのどうかと思う。そろそろ爪を食べる以外の趣味は見つかったか? オレはお前らの爪母基がカワイソすぎて毎日グッスリなんだ。今日はアドレス*********までメッセージ待ってるから、待ってます。

 ひとりでくっちゃべってすいません。というわけで悪魔さんはどうですか? 暇つぶし。

「#%@※(おれいらなくね? まあ、やっぱり悪魔なんで、魔法で見ず知らずの他人を不幸にして遊んだりしてますけど)」

 気のせいだ! それ、神様みたいでスゴイですね。

「#%@※(ギャンブラーが勝負に出たところを見計らって負けさせて自殺に追い込んだり、仲良しカップルに超絶ハンサムをけしかけてどっちかたぶらかして崩壊させたり、学食でひとりでメシをくってる奴にしゃれにならないオナラさせてみたり)」

 オレもたいがいイタズラ好きだけどレベルの違いを感じます。人が食ってるラーメンめちゃくちゃ伸ばすってアイデアがあるんですけど……。

「#%@※(もうやった、隣でブタのような人間が脂みたいな汗をだらだら垂らして、ひたすら醜くススってやがったから、ムカついてやった。やりすぎて質量を無視して伸ばしてしまい、結果的に吐くまで詰め込ませた)」

 うわースゲー! 聞いてて気分がとても悪い! しょうじき、引きました……それ同窓会で話すとドン引きされませんか?

「#%@※(えっ!? そうなんですか……? そうなのかもしんない……? いやいや、でも本当に見ず知らずの他人なんですよ。オレとしてはやっぱり慣れてきちゃって、もうあんまりおもしろくないんです、どれだけ他人が不幸になっても知ったこっちゃないし……)」

 そうなんですか? 心底意外です。オレなんか小心者だから、誰かが幸せになってくれたらなんでも嬉しいんですけど。

「#%@※(どこが!? それは……若さというやつかな。えーと、それでむしゃくしゃして、一回だけ本当にヤバいヤツをやったんですけど……あ、でもこれももうずっと昔の話だし、ちょっと)」

 ほうほう、ぜひこの周波数にそのお話を乗せていただきたいものですね。

「#%@※(いや~、いいのかな~……? ……じゃあ特別に言っちゃう! ……ここだけの話ですけどね、他人に同じ力を与えてやったんですよ、贅沢にもオレと同じ魔法の力を)」

 まじすか? それ、あげたりできるものなんですか?

「#%@※(まじです! 何百年か前なんですけど、オレ、真夜中に暇で暇でうろついてたんですよ。そしたらすごく疲れたような顔して、ふらふらしてる男の子と出会った)」

 はい。

「#%@※(家出とか、そんなっぽい見た目だったんですよ。それで思ったんスよね、こういう世間に不満のありそうなガキに……コレをくれてやったら、楽しいことになるんじゃないかって!)」

 突拍子もない願いを次々叶えて、社会をメチャクチャにしてくれそう?

「#%@※(そう! オレの魔法は本物の魔法だから、呪文もいらないし、みみっちい制約もないし、望みが何でも叶う。それこそ基礎代謝を上げることも、この世界を作り直すことだってできる! もしかしたら社会どころか世界をメチャクチャにしてくれるかもって、ちょっと思っちゃって)」

 そりゃ絶対……あれ? でも今結構平和ですよね? 全然メチャクチャになってないですケド。どーいうことですか?

「#%@※(いやあ、実はどうもハズレを引いたよーで……。そいつ、全然おもしろいことしなかったみたいで)」

 ええ、なんで!? 理解不能。若者の行きすぎた保守的思想、明らかな主体性の欠如、消極的すぎる気性! 教育制度に問題があるとしか思えませんね~、まったく。

「#%@※(まあ、たぶん見た目よりは賢かったんでしょうね。でもほんとはオレちょっと後悔してたんですよ、ほんとにこの世がメチャクチャになったらどうしようって)」

 あんた悪魔なのにそれでいいのかよ! それだと、さっきから調子のって喋くってるオレのほうが性悪みたいじゃないすか?

「#%@※(実際性悪だよあんた、他人をいきなりこんなむさ苦しいところへ詰め込んで、テキトーにのせてこんなこと喋らせてっ。……でもねオレ、最初はしばらくそいつを追いかけて見てたんですよ。せっかくやったのに、魔法の使い方を分かってくれないよーじゃ、ツマンナイから)」

 まあ冗談だと思いますよね、意味わかんないし。

「#%@※(辛辣だね。けれど一応その点は大丈夫だった。道端でジジイに絡まれたそいつが、見事にジジイを消して見せてくれたのを確認したからね。でもそいつってばゴネ得精神がなさすぎて、自分がソレをやったってことにぜんぜん気付かなくって。あきれて教えてやりましたよ、紙とペンで)」

 紙とペンで。

「#%@※(紙とペンで。だから、安心してオレは離れて、これから何が起こるかワクワクしてたんスけど。けど今こうしてのんきに喋ってるよーに、結局何もなかったんですよね……)」

 なんかスッキリしないなあ。でも、まてよ。悪魔さん、魔法がつかえるなら、今そいつがどこで何をしてるか魔法で確認すればいいんじゃないか? ぜひお願いします、当番組はその模様を生中継でお送りしますよっ。

「#%@※(いやーだから、何百年も前の話だよ? 今チラッと調べてみたけど、とっくの昔に死んじゃってるって返ってきたよ、そいつ)」

 え~モヤモヤするな。ていうか『返ってきた』って、魔法ってそういう感覚なんですか?

「#%@※(仕方ないだろ。生きてますかー?って聞いて、死んでますーって返ってきたんだから……オチのない話ですいませんねー。あ、でも、どうでもいい話なんですけど)」

 なにっ。どうでもいい話なら次行くっ。

「#%@※(ま、待って! あの、そういえば魔法を渡すときにひとつだけ制約をつけておいたんですよ。みみっちい制約なしとか言っちゃった後でなんですけどっ。そいつは、自分に備わった魔法の力を消すことだけはできないんスよ。時をさかのぼったりして、オレとの接触自体をなかったことにしたとしても、何をやっても死ぬまでっ)」

 はあ、もはや魔法というより呪いですね。でも、結局そいつ何もしなかったんでしょー?

 変な方向に行っちゃったけど、そろそろ当初の暇つぶしの話に戻りたいんだが。一段落したところで、リスナーの皆さんからのメッセージ紹介といきましょーかー。えー、ラジオネーム『ライトニングサンダー』さん九歳女性。

「#%@※(はあ~。せめてあのガキが不幸になってることを祈るくらいしか、オレにできることは……)」

 あーもうクヨクヨしないでくださいよ。オレたちが何もしなくても、この世はいつも不幸であふれてる。だろ?

 なになに、『安いぬいぐるみの表面にはみ出てる透明なセンイを引っこ抜くのがヤミツキです』。ああーこれ分かる人ならすっごく分かると思うぜ。なんかズルズル抜けるし、よく見るとたくさんはみ出してるもんな。わかんないヤツは、ゲームセンターでやっすいヌイグルミをとってくるといい。もしかしたら最近のヌイグルミはそうじゃないかもしんないけどな。三ポイント進呈しよう。

 お次は、ラジオネーム『熱湯浴』さん二十五歳男性……。