部屋の変遷から見るJacketとThe Girlの関係

久しぶりに Hotline Miami 2: Wrong Number Digital Comic のVol.1を読んだら、JacketとThe Girlの関係って実際どうだったんだろうな~と気になったので、ゲーム本編の描写から二人の関係を読み取ってみます。
このサイトの他の考察記事にも増して空想で補ってる部分が多いので、話半分で読んでもらえると助かります。
Jacketは1986年に失恋してる? (※根拠無し)

突然ですが、筆者が思うにJacketは1986年に失恋してます。[2-16: Casualties]のデモにて、Jacketは1986年4月3日ごろに何か辛いことがあってBeardに電話してました。この会話の前半が以下の通り。
- Beard
- Sorry to hear about that.
Things like that are never easy.
...
Well, yeah.
...
You know what they say.
Time heals all wounds.
...
この会話が何を指してるのかは明言されませんが、時間経過で癒えるという点から、考えやすいのは誰かとの別れや喪失の類です。その中でも特に失恋なのでは?と自分が感じたポイントは、以下の通りです。
- この会話のすぐ後でハワイの写真の話をしてる。
- ごく普通に話が変わります。例えば両親や友人が亡くなったとかだったら、そうはならない気がします。
- Jacketの家が一人暮らしにしては広い。
- このシーンでは映らないですが、少なくとも1の時点でJacketが住んでる部屋はわりと広く、ベッドが二つあり、過去に誰かと一緒に住んでたことがあるように見えます。もしこの会話がその相手との別れについてだとしたら恋人と考えるのが簡単で、ゲーム内の描写だけで話も完結してて綺麗に思います。
- 参考までに、Jacketの部屋と、一人暮らしであろうBikerとJakeの部屋との比較を下に貼っておきます。
- Hotline Miamiというゲームにはロマンチックなところがある。
- そもそも『Hotline Miami』という言葉がゲーム内で唯一登場するのが、The Girlと出会う です。
- 最後の会話は他愛もないもののほうがドラマチック。
- 大前提として、この会話はBeardとJacketの最後の会話です。銃で人を撃たなくていい念願の生活を手に入れたBeardに、かつての戦友から失恋でメソメソした電話がかかってくるというのは、他愛もなさすぎてすごく良いです。
うわー、最初の一つ以外はセリフの内容と関係無いし、後ろ二つはなんか意味わからないけど……。



この失恋説の微妙なところは、見方によってはJacketが女に夢中になってる間は友達 (Beard) のことを忘れがちなアレに見える点です。だって前の彼女 (仮) がいる間はハワイでの写真を送り忘れてたってことになるし、新しい彼女 (The Girl) ができたと思ったらすぐ殺されて、それで最後にバルコニーから投げるのはBeardの写真だし。なんか情緒が不安定そう。
X-Day 死神が来た日

- The Girl
- Yeah... Just get it over with...
I knew it would end like this *COUGH*
[1-3: Decadence]にて、The Girlは映画プロデューサーの自宅のベッドに下着姿で転がってました。状況と彼女のセリフから察するに、おそらく以前からヤク漬けにされてホームメイドAVに出演させられるなどしてたものと思われます。
ひでえ言い様ですが、実際この時の彼女は右上腕に何かを巻いてて、傍に注射器が転がってます。細かいこと言うなら、腕に駆血帯を巻いてるなら注射する直前か直後かのどっちかですかね。そんな寝てる彼女のスプライトの内部ファイル名は sprGirlfriendDrugged_0.png
です。ファイル名の話をするなら、他にこの部屋にあるものも sprPornBed_0.png
(ベッド), sprPornCamera_0.png
(カメラ), sprPornLight_0.png
(照明) と散々です。そしてこれが昨日や今日に始まったことなら、彼女は絶望しすぎてます。
↑のスクリーンショットでJacketの下で倒れてるデブ男が、件の映画プロデューサーですね。彼が映画プロデューサーであることは、[1-4: Tension]イントロで読める新聞でわかります。
...movie producer found dead in villa last night...
...surveillance tape reveals masked assailant...
...unidentified female abducted from the scene...

この部屋にはショットガンが固定配置されてて、脱出時にステゴロで襲ってくる映画プロデューサーを殺すために、Jacketが拾って使うことができます。護身用に持ってたわけじゃないんかい。と思ったけど、アサルトライフルで撃っても止まらないあたり、たぶんこいつも薬物で興奮してたのでしょう。
とはいえこのショットガン、実際にはレベル中のロシアンマフィアたちがショットガンを握ってることも多いので、1階でショットガンの湧きが下振れしない限りはあんまり使わない気がします。というか、慣れたら2階からフル装填のショットガンを持って降ります。それでもこれを使おうとした場合、たいていはThe Girlの目の前で映画プロデューサーを惨殺することになるので、ドラマを重視したい時は使ってみると良いです。
それにしてもThe Girlから見たJacketは単にマスクをかぶった殺人鬼で、他の全員が殺されたように自分も殺されると思ってたはずでした。Jacketを前にした彼女は、死を確信したのか、恐怖するどころか命乞いをする様子すら無いです。
実はプロデューサーを殺したあと、上記のセリフを聞かないまま彼女を放置して車に戻ろうとすると、彼女のほうからJacketに声をかけてきます。
- The Girl
- Hey... Asshole...
You can't just... *COUGH* leave me here...
I've got no where to go...
Why don't you finish what you've started?
あろうことか、立ち去ろうとした殺人鬼をわざわざ引き留めてまで「最後までやれ」と言ってくるのでした。先のセリフは、Jacketに姿を見られての観念ですらなかったようです。行くところが無いというのは、作中で語られた数少ない彼女についての情報ですね。
そんな彼女が無事 (?) デロリアンに乗せられてJacketの部屋に連れてこられた時、果たしてどう思ったんでしょうか。
Jacketの部屋の変遷から見る二人の関係
作中で明言されないJacketとThe Girlの関係ですが、二人が同居するJacketの部屋の様子の変化から垣間見ることができます。
以下、The Girlと出会うより前も含めて、時系列順にJacketの部屋の変遷を追っていきます。スクショは1枚に合成するのが面倒だったので、一旦そのまま載せます。すみません。
1989-04-03 [1-Prelude: The Metro]


非常に殺風景な部屋です。脱ぎ散らかされてる服は、マップ読み込みのたびにスプライトがランダムに変わります。
ふたつあるベッドの片方はシーツが外されており (※)、使われてないことが分かります。Jacketが使ってる方のベッドには枕がふたつあります。
※マットレスが外されてるのかと最初は思いましたが、後述する2の劇中映画『Midnight Animal』にて、The Pig Butcherがベッド無しでこの水色のものの上に寝てます。2のLevel Editorでこの水色のものは MatlessGang
という名称なので、マットレスは外されてないようです。
主人公たるJacketの人物像が想像できる家具や装飾は無いに等しいです。唯一、寝室のテレビに繋がれたゲーム機がそうかもしれません。Jacketはテレビゲームをするようです。あるいはゲーム機なので、ヘンな見方をするとJacketがプレイヤーに操られている、またはプレイヤーの分身でもあるということの暗喩かも (?)。
このゲーム機、ここでしか使われてないスプライトだと思うのですが、なんでかコントローラーが二つささってます。描かれてない友達がいるのか、何かの折で使って出しっぱなしなのか、それともJacketは普段からコントローラー二つ使って遊ぶ変態なのか……。
Nintendo Entertainment System - Wikipedia1989-04-08 [1-1: No Talk]


テーブルの上に
が置いてあることと、床にピザの箱が落ちてること以外は、特に前のレベルから変化はありません。1989-04-16 [1-2: Overdose]


前項から8日が経過。
リビングとキッチンの机の上に新聞のスクラップが登場しました。これらのスクラップは、Jacketが自分の事件に関する記事を切り取ったものです。
玄関の外にゴミ袋が出現したのと、ピザの箱がさらに増えてます。
1989-04-25 [1-3: Decadence]


前項から9日が経過。
さらにスクラップとピザの箱が増えてます……。引き続きソファやベッドにピザの汚れが散っており、身の回りのことが手につかなくなってきてるようにも見えます。
1989-05-05 [1-4: Tension]


前項から10日が経過。
[1-3: Decadence]で連れ帰ってきてしまったThe Girlがソファで眠ってます。Jacketは、自分のベッドから枕ひとつと掛け布団を持ってきて彼女に与えたようです。
リビングのテーブルには変わらず新聞のスクラップが広げられており、この中には[1-3: Decadence]でJacketが起こした事件の記事もあります。部屋は汚いままで、ピザの箱が増えて、玄関のゴミ袋は中身が見えたようになってます。
ただここ、ゲームプレイ中はすぐに次のレベルに移るのであまり気になりませんが、時間的には彼女を連れ帰ってから数日以上経過してます。その間Jacketは彼女の前にスクラップを置きっぱなしにしておくことを何とも思わなかったのか?
それ以前の話、そもそもJacketが仮に理性や慈悲からThe Girlを殺せなかったから連れ帰ったのだとしても、警察に駆け込まれるリスクを考えたら、彼女を監禁せず自由にさせてる (?) のは殺人犯としては意味不明です。たぶん、殺人鬼じゃないJacket自身の気持ちから出た判断なんだと思います。
1989-05-11 [1-5: Full House]


前項から6日が経過。
The Girlが洗面台の前にいます。玄関の前のゴミ袋が無くなりました。新聞のスクラップはキッチンのものだけです。
前のレベルから更に6日が経過しましたが、まだThe Girlはソファで寝てるようです。Jacketのベッドも掛け布団が無いままですが、まさかJacketは布団をかけずに寝てるんでしょうか。もしそうなら、単に紳士的というよりは、自分の生活が雑なくせに他人に対してはそこそこ面倒見が良いタイプの人なのかも……。
1989-05-13 [1-6: Clean Hit]


前項から2日が経過。
The Girlがお風呂に入ってます。あったかそうですね。
新聞のスクラップが使われてない方のベッドの上に移動しました。The Girlに見られて何か言われたとか、もしくは見られるのが嫌だとJacketが思い始めたのか?
なんとなくですが、彼女がJacketに気を許してるであろうことをプレイヤーが初めて強く感じるのって、このタイミングじゃないでしょうか。このゲームは見下ろし視点なので、カットシーン以外では基本的には登場人物の表情がわからないですが、ここは彼女が横になってて顔が少し見えることでそう感じやすくなってる気がします。いや、顔の解像度自体は初めて会った時と同じなんですけどね。

なお、このあと車へ向かう時、コンドミニアムの1階に清掃員姿のDennisがいます。Jacketのこの日の仕事は
の件ですが、様子を見に来たんでしょうか。現場にはJonatanのほうもいました。あるいはJacketがThe Girlを殺さずに生かしたままにしてるから、不安に思われてるのかもしれません。
1989-05-23 [1-7: Neighbors]


前項から10日が経過。
The Girlが服を着てソファに座ってます。彼女が服を着てるところをプレイヤーが見るのは初めてです。
ここまでずっと散らかってたピザの箱が綺麗に消えました。シンクに水が溜まってて、食器が漬けられてるのが見えます。
それと、地味にバスタブの底が初めて見えました。アメリカ人ってバスタブに水を入れっぱなしにするのか?
1989-05-27 [1-8: Push It]


前項から4日が経過。
誘拐から約1か月、ついにThe Girlが寝室にやってきました。踏ん切りがつくまで1か月かかってるのがなんかリアルな気がします。
ずっとマットレスが無かった2つ目のベッドに、The Girl用に柄付きの布団とピンクの枕が置かれました。Jacketのベッドにも掛け布団が戻ってきました。というかJacket、本当に掛け布団なしで寝てた可能性があります。
他にも部屋からは汚れが消え、リビングとダイニングのテーブルにもそれぞれクロスか何かがかけられて、目に見えて部屋が整った感じがします。
1989-05-31 [1-9: Crackdown]


前項から4日が経過。
ここから2レベルの間はThe Girlが姿を消します。Bikerとの邂逅からの不穏な演出があった[1-8: Push It]の後だから、筆者は初見時にThe Girlの姿が無いことが不安に感じましたが、改めて見たら、部屋の様子としてはむしろ二人がより親密になってそうでした。
リビングのテーブルの小さな本はThe Girlのものでしょうか。ダイニングのテーブルにも花瓶が置かれ、キッチンには包丁・まな板・あと右上の何かが出現してます。彼女がいないのは、こういった調度品などを探しに出かけてるとかかも。
それと寝室の床に直置きされてたテレビがリビングに移動し、テレビボードに乗せられました。ゲーム機が消えましたが、テレビボードの中にしまわれてますかね?
あるいはもしゲーム機の存在がJacketとプレイヤーの関係の暗喩だったなら、ゲーム機が消えたことは、JacketがThe Girlと過ごすうちにプレイヤーの分身ではなくなっていったことの表れとか…… (もうわけわからん)。
1989-06-03 [1-10: Hot & Heavy]


前項から3日が経過。
リビングに観葉植物が追加されました。The Girlは緑が好きなんでしょうか。テーブルクロスも服も緑色です。
そしてソファに二人分の小さなクッションらしきものが置かれてます。一緒にテレビ見てるのが想像つきますね。なんなら一緒にゲームしてます。
1989-06-08 [1-11: Deadline]


前項から5日が経過。
ソファでThe Girlがカップに入れた飲み物を啜ってます。流血したデブが冷蔵庫を漁ってる異常な絵を除けば、実に平和なものです。
浴室に洗濯カゴが追加されました。この洗面台の上に置かれてる緑のやつは、内部ファイル名が sprLaundryBasket_0.png
なので洗濯カゴです。
ダイニングのテーブルに広げられてる大きな本のようなものは、新聞のスプライトの色違いに見えます。もしこれが新聞だとしたら、スクラップされてない新聞が部屋にあること自体がJacketの心情の変化を示してるみたいで面白いかもです。後述しますが、実際、The Girlと入れ替わるようにしてJacketの部屋からは新聞のスクラップが消えてますし。
そしてとうとう、離れてたベッドがくっつけて置かれるようになりました。テーブルランプはThe Girlの方に移動しました。彼女がこの家に来て一か月と少しだというのに、寝室に入れてからの距離の縮まり方は加速的で、あっという間に二人暮らしの部屋になってしまいましたね。
1989-06-08 (帰宅後) [1-11: Deadline]


ついにこの時が来ました。こうして一つずつ追ってみると、この綺麗に整えられた二人の部屋に土足で (※比喩) 上がり込むからこそ、Jacketの悪夢の中でのRichterのイヤな奴さが強調されたのかもと思えてきます。
浴室のドアの前に散らばってるのが薬莢だとしたら、The Girlは6発も打ち込まれたようです。Uziだからいっぱい弾が出ただけか?
1989-07-21 [1-13: Assault]


前項から43日が経過。
Jacketが病院から勝手に抜け出して戻ってきたとき、立ち入り禁止のテープで塞がれてた部屋は荒れに荒れてました。観葉植物も、水をもらえなかったので萎れてます。
ここってプレイ中は、The Girlの血痕が残るバスルームに入って洗濯カゴから普段着を取り出して着替えないといけないので、Jacketの心情を考えると凄まじいものがあります。この洗濯カゴだって、The Girlが持ってきた (あるいは彼女に言われて買った) ものだし。

部屋が塞がれてたことと玄関の模様から、部屋をこんなにしたのは去り際のRichterまたは他の50 Blessingsの者だと思われますが、なんでこんな荒らしたりしたんでしょうか。それについては以前にこのサイトの 映画『Midnight Animal』から見るJacket像 で書いており、筆者は「50 BlessingsがJacketをキチガイに仕立て上げようとした工作」と考えてます。詳しくはリンク先を参照してください。
ダイニングの床にある茶色い寝袋のようなものは、内部ファイル名が sprHomelessBed_0.png
なので寝床です。封鎖されてるのにホームレスが入り込んでたとかでなければ、やはり世間から見たJacketは、こんなとこで寝てる頭おかしい人間ということに……。
1989-07-23 [1-14: Vengeance]


前項から2日が経過。脱走した殺人犯が自宅に戻ったのを2日も捕まえられないマイアミ警察さん……。
警察署を襲撃して奪ってきたマスク殺人事件に関するファイルが、リビングの床に広げられてます。他に変化はありません。
ここまでで、ゲーム本編で見られるJacketの部屋の様子はおしまいです。
参考:Midnight Animalで描かれるJacketの部屋



2の劇中映画『Midnight Animal』には、Jacketの部屋を忠実に再現したセットが使用されてます。
間取りは完璧ですが内装はいくらか異なっており、リビングに新聞のスクラップだけでなくサンドバッグやダンベルがあったり、寝室にベッドが無くThe Pig Butcherがマットレスの上に直接寝てたりしてます。(あれ、Jacketが逮捕された時点で部屋の中に新聞のスクラップは無かったような?)
新聞のスクラップが消えた理由
ここまでで紹介したように、前半のJacketの部屋には彼が起こしたマスク殺人事件が載った新聞のスクラップが点在してます。それらはいずれも直近の事件のもので、作中世界でマスク殺人がどういう見られ方をしてるかの説明にもなってます。
しかし後半、 [1-7: Neighbors]以降ではスクラップが置かれることはなくなります。その理由を少し考えてみます。
仮説1. そもそも新聞が実在しない
筆者は当初、スクラップが消えたのはもう新しい新聞が存在しないからだと思ってました。[1-9: Crackdown]以降は全部夢の中の出来事だと解釈してたので、それが載った新聞も無いという意味です。このゲーム、初見で通しでクリアするとBikerがJacketほか諸々をぶち殺して終わるので、そんな気分にもなったのです。
その後少し考えて、どうもJacketとBikerの対決は「どっちが史実」とかいう話ではなさそうだと思い直しましたが。しかし新聞のスクラップが消えたことについてはやはり、悪夢が進むにつれて現実味が無くなっていくことの演出なのだと思い続けてました。
それくらい、1のJacketの描かれ方が信用できないヤツに見えてたってことです。
仮説2. The Girlが片付けた
とはいえこのゲームは曖昧なので、実際のところ、仮説1と同時にこちらの説も想像してました。The Girlは部屋のゴミを片付けたりもしてるし、新聞のスクラップも単に彼女が捨てたのかもと思ってました。
しかし改めて考えると、彼女はまさにJacketの所業を見てたはずで、そのスクラップの重みというかヤバさが解らないこと無いはずだと思うのですが。そのうえでもし彼女が捨てたなら、「そんなもの無くても私がいるでしょ」的なけっこうグイグイくる子だったのかも (何の話?)。
仮説3. いらなくなったからスクラップをやめた
この記事を書くためにまじまじと二人を観察した結果、今はこれが最有力と思ってます。新聞から得てた世間からの関心を代わりにThe Girlから得られるようになったから、Jacketはもはや新聞をスクラップする必要がなくなり、部屋から消えたという理屈です。
この場合、[1-9: Crackdown]以降でJacketが起こした事件もおそらく夢ではなく実在し、新聞にも引き続き書かれてたと思われます。仮説1だと[1-9: Crackdown]以降が悪夢の可能性が出てきてしまい、史実の考察の材料にしづらくなるのであんまり好きじゃなかったのですが、こちらならそれも解消されるので筆者が嬉しいです。
いや、Jacketが他者からの関心を求めてるイメージが無いんだけど?と思われた方がいましたら、それは筆者も最初はそう思ってました。
ただ、犯罪で人々の関心を集めることへの欲求については2でそこそこ描かれてるんですよね。JacketのフォロワーであるThe Fansは、自分たちの所業がニュースで5分しか取り上げられないことを物足りなさそうにしてました。Pardo刑事に至っては、よく見ると終始 (Jacketの) マスク殺人への注目の大きさに張り合ってるようにしか見えなかったりします。
- Pardo
- Oh? you want your fifteen minutes of fame?
Well, I don't think so.
...
You know what happens to thugs like you?
だったら、この世界の住人たちの一般的な考えとして「犯罪をすると注目される」ロジックが存在するのなら、Jacketにもそれがあったことは十分考えらえると思います。
しかしこれが本当だったら、こうして不特定多数からの関心に興味を失ったJacketが、2においてはマスク殺人事件で人々の関心を最大級に集めてるのは、皮肉というかなんというかですね。
参考:"notebook" でのThe Girlに関する言及
Gamer's Edition版に付属の冊子 "notebook" には、制作者のひとりDennis WeddinによるThe Girlへの言及があります。
それによると、The GirlはDennisの人生に関わりのある実在の人物がモデルで、いわく「彼 (Jacket) が底にいるときに、彼が頑張れるようになるまで待っててくれる人」だそうです。
Based on a real person who came into my life during a very similar time as the girl came into jacket's [him being at the bottom but then realizing there is now this person who's willing to wait for him to get his shit together].
正直これがとても印象的だったので、筆者はこのゲームをロマンチックなものとして解釈できるようになったところがあります。Hotline Miamiは説明が少ないというか、特にJacketはセリフと顔グラすら無いですが、The Girlの存在はやはりJacketにとって大きかったと思ってよさそう。
そもそも1の作中のJacketって、夢のカットシーンで見られるように心の中にいくつかの何かがあって、それらがごちゃ混ぜになったような行動を取るから、何考えてるのかわからなく見えるんですよね。ロシアンマフィアへの暴力にしてもBeardへの思慕から来るものだけじゃなくて、単純に衝動みたいなのもありそうですし。
ちょうど[1-8: Push It]を境に夢の中のBeardが死体になって、加速的にThe Girlとの距離が縮まっていきますが、Jacketの心の中にこの二人は同時に同じ大きさで存在できないんだろうか?
おまけ:ランダムスプライト
前述した『Midnight Animal』で、The Pig Butcherが逮捕されるシーンに移った後のマットレスについて。
このマットレスに乗ってるものはマップ読み込み時に数種類からランダムに選ばれており、その中にはポルノ写真らしきピンク色のものもあります。このスプライトはLevel Editorでは Magazines
という名称で、[2-Bonus: The Abyss]でもトイレに落ちてるのでポルノだと思います。
そしたら、これが偶然出るとThe Pig Butcherの印象がさらにゲスくなる気がするのですが、そこんとこどうなのでしょうか。


こういったランダムオブジェクトは1・2ともいくつかあり、他に目立つものだと、2のエンディングで見られるJacketの独房の机ですかね。
Federal Correctional Institutionの汎用の机には聖書 (Level Editorでは PrisonBible
) が置かれたものがあり、これが出たか出ないかで、プレイヤーから見たJacketの印象が変わる気がしなくもないです。というか筆者がそうで、初回で聖書!?と早合点したけど、周回して初めてランダムだと気付きました。危ない危ない。


以上、幻覚強めでお送りしました。お付き合いくださりありがとうございました。