第六章

直弼は路銀に困ると

このような自伝めいた物語を書いては 町人を騙し 同情させ 金銭を恵んでもらっていた

 

幼い頃から窃盗や詐欺をくりかえしていた直弼には このような創作など朝飯前であった

 

路銀の使い道は もっぱら浮浪者を雇うことに使われる

「お前は酒を飲むだけでいい」などと言い 言葉巧みに 浮浪者に酒を飲ませ

米や干物などが備蓄してある倉庫に侵入させ 酔いつぶれさせる

 

そこを直弼が放火するのだ

 

食糧を粗方強奪したあとは 酔いつぶれた浮浪者ごと 倉庫を焼き払う

 

役人には浮浪者が泥酔したあげく 暖をとるために放火した とみなされ

直弼が疑われることはない

 

今日も今日とて同じ手口で食いつなごうと 橋の下で 浮浪者をあさっていると

なんの因果であろうか

そこにいたのは かの有名な ペリーであった

 

直弼 感激のあまり 号泣す