第九章

大小様々な 毒をもった生き物を 一つのカゴに入れ

最後の一匹になるまで 殺しあいをさせる

このような儀式を 蠱毒(こどく) という

 

この地獄のようなさまを生き残り

様々な毒を摂取した その個体は 

怨みや憎しみといった 怨嗟のかたまりとなり

触れた者の肉を腐らせ 確実に死に至らしめる

妖術師の呪いの術に使われるほどに それは凄まじい毒をもつのだ

 

直弼は呪いの儀式などに興味がなかったが この強烈な毒なら

眠気もなしにまぶたが下がってくるような 奇怪な現象を吹き飛ばしてくれるだろう という

そういう確信めいた気持ちがあった

 

よだれが一すじ 垂れ落ちたのは 

馳走を前にはしゃぐ 子どものそれと一緒であろうか

 

蠱毒が完了するのは

子六つ時(23時30分)ほどであろうか

直弼は躍るこころを静めるすべを 知らなかった…

 

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