第八章

現在卯ノ時(午前6時)をまわったところ

直弼は手の震えが止まらなかったが 死人が闊歩する町へと出向いた

 

丑三つ時まであと 十刻ほど

それまでに トリカブトのかわりとなるクスリを探さなければならないのだ

これは 想像以上に難航した

まず トリカブトが町の中に生えていなかったのだ

きっと人生に絶望した者達が こぞってむしりとって行ったのだろう

跡には 土の掘り返された 無惨光景が残るのみ

 

直弼は途方に暮れたが

視界のすみにうつった 一匹のムカデを見た時に

閃光が電流のように 頭をはしった

 

「いけるやもしれん」

 

鼻孔から猛々しく息を噴出しながら ムカデを捕まえた

次に 門に生息していたクモを

堀でイモリとガマ ……とにかく

急いで町中から 毒 をもった生き物をあつめた

 

巳の時(午前10時)にも差し掛かろうかというとき

汗にまみれた直弼が

うごめくカゴを脇にかかえ 門に戻ってきた 

口から垂れ流す 白濁した汁に呼応するように

 

カゴの隅からは 紫色の汁が滴り落ちていた