第五章

羅生門

それがこの門についた名前だった

生と死は 互いに引き付けあい

逃れられぬ スパイ羅ル

 

門の中にも死体が山積みとなり

そこを動く影は 三つ

カツラ売りを生業とした老婆と

婆に衣服を売る専門家の男

そして口から泡を吹いた直弼

 

それぞれがまた その道をきわめた職人であった

 

目的はもちろん闇市に売りに出される 外国人である

白銀の絹糸がごとく輝く髪の毛

日本では手にいれることができない 衣服

その指ひとつで空気とたまごを絡ませる技術

 

闇のなか光る眼光が交差し 空気が張りつめたとき

互いに利害が一致した

 

金を稼いで 人を買うという

崇高な目的をもった職人達が ここに集った

目指すは明日の丑三つ時 

殺気と熱意が波紋となり じりじりと ロウソクの火が揺らした