第十三章 ホイール

柔らかな肉を 握りしめていた

柔らかな瞳に 見つめられていた

柔らかな腕を 踏み潰していた

…………

不気味に地図を頼りに 目的地へ向かうペリー

もうそろそろ か

来る決戦に備え 軍刀を引き抜き 布で磨いた

一人斬っては磨き 二人斬っては磨き

幾度と愛刀に施した行為である

 

やがて地面に変化が起きた

ペリーが跨いだこの道を境に 

太い轍(わだち)が何本も刻まれている 異様な光景

木々は薙ぎ倒され 建物は 元がそうであったと判別出来ないほどに 粉砕されている

一体何がいるというのだ 

流石のペリーも 冷や汗を浮かべてしまう

 

ガリンガリンと 遠くから轟音が迫ってきた

無機質な音は あっという間にペリーに追い付いた

餓鬼ではなかった 姿形は巨人と見紛う程に大きい

それだけではない その巨体が 数倍の大きさの車輪に収まっていた

 

殺さねば 殺される

 

「俺は 貴様にかける 言葉を知らぬ」

ペリーは否応なしに 斬りかかる

 

切っ先の紫電は 虚空に輝いた

ゴオンと 一哭き 車輪が回転し ペリーの胴体が 中空に打ち上げられた

それと同時に 異様な事が起きた

 

ペリーの下半身が 大地に立ち尽くしている

噴水のように 血液がほとばしっていた