第七章 レッド・サイクロプス

丘の頂上には 赤い肌をした単眼の巨人がいた

巨大な煮え立った釜を 刺のついた棍棒でかき混ぜている

(その中身は想像に難くないだろう)

 

耳までバックリと裂けた おぞましい口が動いた

「主 よ 名乗れ」

言葉とともに 辺りに高熱が立ち込める

 

「貴様ら屍肉を喰らう外道ごときに 名乗る名前などない」

 

赤鬼はその反応に 怒りを露にした

全身の血管が 沸き立ったかのように ボコボコと脈をうっている

「此処 儂の領地 ぞ」

「だからどうした」

 

赤鬼は 棍棒を思い切り ペリーに向かって叩き付けた

両鉈で受け止めたペリーであったが その刃は衝撃によって ひび割れてしまった

 

「罪人 に 死を」

あまりの早さに  長い腕が 鞭の如くしなったかようにみえた

ペリーのガードを潜り抜け 脇腹に強烈な一撃を叩き込んだ

 

血を吐きうずくまるペリー 足元には 無数の人骨が打ち捨てられていた

 

(こんな屑に殺されて…たまるか)

狂ったように笑いながら 赤鬼はまた棍棒を振りかぶった

身をよじり 回避するペリー

 

(今だ)

ペリーは骨の中から仙骨を拾い 赤鬼に向かって 思い切り投げつけた

 

赤鬼の 唯一の目玉は破裂し 中から止めどなく マグマのような体液が流れ落ちている

ダメージに体をよろめかせたのを ペリーは見逃さなかった

 

「貴様如きに殺される 俺ではないわ」

ペリーは赤鬼のアキレス腱に向かって 片方の鉈を地面スレスレに 叩き付けた

 

激痛に身をよじる赤鬼の胸に ペリーがのしかかった

「貴様 本当に 人間 か?」

先程の攻撃でボロボロになった鉈を 赤鬼の首にあてがった

 

「そうだ 俺は…人間だ」

歪な刃をノコギリのように挽き出した

噴水のように 高熱の体液が飛び出している

 

ガリッ

ガリッ

ガリッ…

 

ペリーは使い物にならなくなった鉈を捨て 

事切れた赤鬼の腕から 棍棒を引き剥がすと

地面を抉りながら 引きずり  また次の目的地に向かって進み出した