第五章 ヘイル・トゥ・ミー

(どうやら私は 東方の仏教でいう 地獄に落ちてしまったらしい)

ペリーは 先程遭遇した 悪鬼のことを考えていた

 

人の形をしてはいたが その表情や 立ち振舞いは もはや人のそれではなかった

(…まあ 仏教等というものは 愚民が己を正当化するためだけに存在する 下らない猿の気休め 薄っぺらいフィクションにすぎぬわけだが)

 

しかし この光景が目の前に広がっている以上 信じないわけにもいかない

 

軍靴の紐を結び直しながら 認める事に悔しさを感じながら そう思った

 

ペリーの出で立ちはというと

左手に血にまみれた鉈を一丁 腰にはさっきの鬼から奪った鉈を ぶら下げている

返り血で赤くなった 海軍の軍服に 丈夫そうな軍靴

他に 武器らしいものは持っていない 銃も持っていたが

おそらく この異界に流れ着いたときに なくしてしまったのだろう

 

「ここで思考を止めては 前に進むこと ましてや 現実の世界に戻ることすら出来ないだろう」

自分に言い聞かせるように ペリーは呟いた

 

「まずは情報がいる」

ペリーは民家を探しながら 周囲の様子を慎重に探った