第二章 クリムゾン

ついさきほどまで 日の光と青く透き通る液体に満たされていた視界は

すでに

深紅(あか)く濁った水が 絶えず

もはや人ではない 何かを 押し寄せる 

おぞましい光景に変わっていた

 

いったいここは…なぜ……だれもいない!

先程から歩き続けている 淀んだ血だまりの中を ひたすら

心のなかで癇癪を起こしたペリーは  歩みを止め 低く呻き …

そしてまた歩き出した

 

いったいいくら歩いたのだろうか

農具延々と 地面に突き刺さっている 狂気じみた光景が続く

 

一件の建物をみつけた

 

民家と思わしき建物は 朽ち果て 

襖は一面 ズタズタに破られていた

そして 何かに引き寄せられるように ペリーはその魔窟に入っていった

 

ガチャッ ガチャッ

 

ブーツが腐った床を踏むたびに いびつな鳴き声が響きわたる

 

ガチャッ ガチャッ

 

慎重に進んでいくと 

一部屋が目に留まった

 

凄惨という他に 表現のしようがなかった

 

畳と壁 見渡す限り一面に血痕と脂肪がこびりつき

部屋の中央にある 机には ドス黒く汚れたナタが突き立てられている

 

あらゆる生命を拒絶するような 雰囲気がはなたれていた

 

ここは…これは…まるで…

 

背後で

床が軋む音が聞こえた