第二部 第一章 ドリフト
城下町にて西洋デザインの皮を使った帽子屋に勤める 広坂 吉右衛門
(のちに「帽子屋」マッドハッターの異名で庶民に親しまれる)
はこう語った
「奴は化け物(クリーチャー)に違いない」と………
ザザァー ザザァー
(海岸か…)
ザザァー ザザァー
わたしは… …直弼は…
脳が溶けている 三半規管がうねっている
胸の奥から 液状の琥珀がせりあがってくる
(猿どもの出す酒は やはりゴミだった)
ペリーは安酒に溺れたことを後悔しながらも それを他人のせいにすることを忘れなかった
水面に浸かるかのごとく 太陽がその半身だけを持ち上げていた
覚めたばかりの両目を 容赦なく朝日が焼きつける
わたしは何をしてた……たしか江戸で…飲んで…そのあとの記憶がない
気がついたら 海岸にたどり着いていた
ここは…どこだ
正体不明の不安が ペリーを包んだ