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158.打首!日刊虚言プランター

 ……続きまして、全植物シンセサイザー化計画、第百九十五? 六? 回! 知らねえな。そこいらの苔から世界樹まで、あらゆる草をシンセにしていこうという不定期コーナーです。よろしくお願いします。

「さて、本日の植物は~」

 待て待て、せっかちさんかよ。今日は先に言うことあるだろ。

 えー、本日の植物なんですが、実はなんとリスナーさんからの頂き物です。『ロリータX』さん、どうもありがとうございましたー。

「ありがとうございましたー。わぁ、こういうの初めてなんだぜ」

 いや~、本音を言うと断ろうと思ってたんだけどな。こういうこと始めるとキリが無くなるというか、あんまり内輪っぽくなるのもイヤというか。一応、ネタ自体は全部オレたちで考えたいというか。何よりお前らからモノなんか受け付けたら、何が送られてくるか分かったもんじゃねーしな。

 でもまあ、今回は本当にめちゃくちゃ熱いメッセージを何回も、何ッッ回も頂きまして。その熱意に打たれたと言いますか。

「ぶっちゃけネタ切れで困ってたんだぜ」

 それは言うなよな。そもそもこのコーナー、いまだにネタが続いてるのが不思議なくらいだろ。一昨日のアレとか、完全に菌類だしさ。メッセージじゃ好評だったけど、納得してない人の方が絶対に多いって。むしろ過半数! オレだけで過半数。

 そもそも植物性妖精のオレとしては、この企画って植物に対するストレートな冒涜だと思ってる。犬に例えると、動く犬が動かない犬の腹を捌いて遊んでるようなものだろ。だからこう、ロリータXさんに「ウチで育てた野菜をぜひ」と言われて、正直ウルッときたところが大きい。

「Eちゃんがベジタリアンなのも同じ理由なんだぜ」

 その通りだ、目ん玉。冒涜こそが本質だ。それでこそ、割るためだけに育てたオレのスイカたちが報われるというものだ。

 だいたい肉より植物の方がウマイし、いじってて楽しいからな。動物の肉ってナイフがベタベタになってきもちわりーんだよ。喋るわけでもねーし。置いとくとすぐに腐るし。

「そー言われると、タダの好き嫌いみたいになっちゃうけど……」

 けけけっ、オレは最初から好き嫌い以上の話はしてねーよ。この番組自体がそうだろ? だが手加減はしないからな。売られたケンカは、一回だけは定価で買うと決めてるんだ。残りは全部買い叩くけどな。

 ……で、前置きが長くなったけど。この植物、トマトなんだよな?

「特別に育てたトマトだって書いてあったぜ」

 どっかで見たことあるような気がするんだけどなぁ。黄色い実がたくさんついてるけど、青臭くて食用っぽいニオイじゃないな。ずいぶん背が低いし、葉っぱはゴワゴワしてるし。圧が強いシンセになりそーだぜ。

「種をとっておいたら増やせる?」

 いやぁ、一代雑種じゃねーの? そうじゃなかったとしても、ロリータXさんに許可は取った方がいいだろ。とりあえず鉢から出して、根っこからやっていくぞ。

「そーゆーとこだけはスジ通すのって……ん?」

 ……。

 …………。

「これって――」

 メカニック!! マイク切っ――

 

 

 ぶちっ。