6.~アンドロマリウスの巨躯~

鬼ヶ交差点へと差し掛かる地上10mのクレーンを盛んに上下させるモンスタークレーン、"アンドロマリウス"

後方に同じく10mの巨体を誇る一つ目の鬼"首狩りの太郎"

鬼「ぬう…彼奴(きゃつ)めこの"アンドロマリウス"!!の想像を絶する速度に追いつくとは…我が慢心とは言え太郎…貴様を侮っておったわ」

太郎「うーポチにゃん! うーポチガォー! うーポチワンダフル!」

鬼「何を言っておるのかさっぱりわからぬ…ただ一つ解るのは、彼奴がただならぬ殺気(オーラ)を放っているという事ッ! 一刻も早く中央都市(ニュートランド)のニグロオニと合流しなければ…あの"不滅"であれば太郎とてタダではいられぬ筈(はず)」

 

鬼「前方10km、見えたぞ! 太郎!そしてバンデルソン!」

鬼「構えい砲(カノン)、残影来い(カモン)、陣営来い(カモン)」

鬼「ライムが雑だぞ! 気を散らすな!」

鬼ヶ交差点から紅い光が迸る(ほとばしる)

バンデルソンは10m/sの速度を維持したままアンドロマリウスの予備エンジンを更に点火した

これにより機体前方に位置する二つの月明反射板(ツインアイ)が紅く瞬いたのであった

鬼「あの光は!!」

太郎「うーポチガウガウ! うーポチメーメー!」

鬼「射程(レンジ)に入り申した! 今が刻よ! 発射!」

対物ライフル"不滅"の弾倉が鈍く大きく黒く太く濡れ、砲身へと突き刺さった

鬼「受けてみよこのライム、今が刻(タイム)、それは死の鐘(チャイム)」

鬼「撃つのはライムではない! 気を引き締めろ!」

 

太郎「うーポチワンデルソン!!」

直径10cmの特性鬼ヶ弾が10km/sの速度で太郎の胴体へと着弾した

 

鬼「今……太郎、貴様なんと言った…ワンデルソン…我が息子…10年前に失踪した…我が……息子……」

バンデルソンは重機の上で力無くうな垂れた

 

バンデルソンの思考から、凄まじい速度でニュートランドへ突っ込んでいくアンドロマリウスの事は、すっかり頭から消え去っていた