22.もんじゃ焼きと、イカ。お好み焼きと、タコ

ドラグーンがエディの後ろ髪をつかみ、顔面にブロウを振り上げる

『グシャッ』

目を覆うような、酷い音がした

そして、観客席から隔絶されたキャンバスの地面から深紅の液体が噴水のように噴き上がる

 

(……?? ……!? …)

エディは無傷だった

その艶のあるブロンドの髪には、ドラグーンの指…汚れた爪…手首から先がぶら下がっていた

(………!??)

誰も、彼も、何が起こったのか理解ができない

拳を振り上げたドラグーンの身体が、一瞬消えて、その直後にキャンバスから鮮血が迸った(ほとばしった)

 

何が…起きたんだ? 血になったのか? ドラグーンは血になった!! ドラグーンが! 血になったァァぁぁ

アナウンサーが混乱して、引きつった声で訳のわからない事を叫んでいる

 

「此処(ここ)が特異点な訳か…」

顔と身体…血膿から産まれ出ずる(いずる)かのように、血溜まりの中から何かがせり上がってくる。

『騎士』

西洋甲冑に身を包んだ、騎士が、そこにいた

血塗れの騎士…人ならざるモノ…

「人間よ、何を阿呆のように口を開けているのだ、今から喰われるものとして、行儀良く鎮座していろ」

耳を通り越して頭の中に声が響く

デカイ声だ、恐ろしい声だ、しわがれた声だ、死の声だ

会場は静まり返り、続いて恐怖による雄叫びが、ビニール張りの屋根に反射して、まるで、地獄の亡者がクモの糸に縋るように、出口へ向かう

親子、兄弟、老若男女、全く問わず、誰かに踏みつけられ、へし折れた首から飛び出した、母親の目玉を踏みつけた幼き娘

恐怖が、死が、その空間を支配した

ただ、たった一人を除いて

「お前が…新しいぼくの相手か…、お前なんかに、ぼくを壊させやしない」

血溜まりの中から二つ首(ふたつくび)の獣の遠吠えが聞こえる

今、本当の戦争(たたかい)のゴングが鳴った