18.ケー、ワン、エル、エル

「なんだか遅いな、サムおじさん」

スリッパをピコピコとソファの下で揺らしながら、少年はぼやいた

また張り紙を見る

「うん、今日もちゃんと守れてるな」

うんうん、少年は頷く

 

1時間経った

まだ帰ってこない

 

2時間経った

まだ帰ってこない

 

2時間30分経った

まだ帰ってこない

少年の心がどうしようもなく不安な気持ちで満たされていく

 

3時間経った

まだ帰ってこない

迎えに行こうかな、どうしたのかな、ぼくがコンソメのスープなんていうから、遠くに探しに行っちゃったのかな

迎えに……

 

ザザッ

 

「緊急の速報です、ユートピア大統領に対する反政府派の市民団体が、各地でテロを行っています、市民の皆さんは、事態が収拾するまで、外出を…………」

 

ザザッ

ザザッ

 

死神はまだ、空から見ていた

少年を、見ていた

父親を、見ていた

死神は、空から降りてきて、藁でも刈りとるように、命の芽を毟って(むしって)いった

少年の脚から、闇が、闇がすべてを

 

テレビにはサムおじさんと思われる人

ケーキ

血……

 

少年は、この日、全てを失った