19.

サムの死から3ヶ月がたった

テロリストとかした暴徒は鎮圧され、射殺されたようだ

平和が戻ったと、世間は喜んでいた

 

バスッ バスッ バスッ

キュッキュッ バスッバスッ

キュッキュッ バスッバスッ

バスッバスッバスッ

シューズの摩擦音、サンドバッグの衝撃音

それだけが、ジムの中に響いていた

 

経営者がいなくなったジムは、養子縁組を結んだ息子がいるとして、売り払われることはなかった

通っていたジム生は、みんな、お悔やみの言葉を残して、辞めていった

一人を遺して

 

「守らなきゃ」

エディはボソッと呟いた

「張り紙を…」

キュッキュッ バスッバスッ

「でも、おじさん……」

「……おとうさん…人生は楽しくなくなっちゃったよ」

少年は、汗と、涙を、磨かれた床に零して、動きを止めた

そして、動き出す、繰り返す、何度も、訓え通りに

これだけが心のよすがだった

心が壊れた人間が、壊れた人形のように、同じことを繰り返していた

何ヶ月も、何ヶ月も

 

かくしてエディが、18を迎える頃、ジムに令状が届いた

#『この地区にあるスポーツジム全てに出しています

 ワシントン州にあるスポーツジムは、サミュエル・サウサー ワシントン・ジム のみです

 選手としての立候補を強制します』#

徴兵令のようであったが、心が壊れた青年は、死神を纏って(まとって)、出場を決意した

 

「守らなきゃ…」