Jacketがやたら住所を間違える件について
1の作中、Jacketはたびたび電話で指示された住所と違う場所に行ってしまいます。実に4回も間違えてます。
どれもJacketの夢の中の出来事なので、気にしても意味が無いことかもしれません。しかしこれが意図された演出なのか単なる誤表記なのかによって、ストーリーの解釈が変わってくることもあると思います。
なのでこのページでは、Jacketの住所間違いについて筆者なりに考えた結果をまとめてみました。誤表記を疑うなんてけしからんと思われたらすみません。
住所間違いシーンまとめ
当該のシーンを順番に確認していきます。
ここでの住所の表記は原文ママですが、カッコ内は短縮表記に統一してます。
その1. [1-4: Tension]
- 電話で指示される住所 … NE 24th St (NE 24th St)
- 現地で表示される住所 … NW 24th St (NW 24th St)
違うのはEastとWestだけです。
その2. [1-8: Push It]
- 電話で指示される住所 … 212 NE 24th St (212 NE 24th St)
- 現地で表示される住所 … NE 165th St (NE 165th St)
まったく違う住所ですが、電話では「クラブから」とはっきり言われており、現地もちゃんとクラブです。このクラブにはバッタマスク (Carl) の死体があります。
その3. [1-9: Crackdown]
- 電話で指示される住所 … SW 121st St, apt 35 (SW 121st St, apt 35)
- 現地で表示される住所 … NE 24th St (NE 24th St)
まったく違う住所です。
その4. [1-11: Deadline]
-
電話で指示される住所 … 312 SE St
-
現地で表示される住所 … SE 24th St (SE 24th St)
まったく違う住所ですが、電話では「オフィスから」とはっきり言われており、現地もちゃんとオフィスです。
それで?
この住所間違い問題には、2つの特徴があると思ってます。
- Jacket編後半に多い。[1-4: Tension]以外は[1-8: Push It][1-9: Crackdown][1-11: Deadline]とJacket編の後半に集中してます。
- 『なんとかE 24th St』に多い。全てのケースで、電話で指示される住所か現地で表示される住所のどちらかに、必ず『なんとかE 24th St』が含まれてます。
このことから3つほど仮説を考えたので、以下に紹介します。
仮説1. Jacketの記憶が混濁していく演出説
前項でも書きましたが、この住所間違い問題は[1-4: Tension]を除くと[1-8: Push It][1-9: Crackdown][1-11: Deadline]とJacket編の後半に集中してます。
そこに着目すると、夢の終わりに近づくにつれJacketの記憶が混濁していく演出だと考えることができます。事実、Jacketの夢は[1-7: Neighbors]以降で決定的に様子がおかしくなってます。また、この説の場合、住所が間違ってるのは表記だけで、実際に行った場所は間違っていないという解釈が可能です。
それなら[1-10: Hot & Heavy]だけ間違えてないのはなぜ?と思いましたが、よく見たら[1-10: Hot & Heavy]は電話口だと「Downtown Relaxation」としか言われてませんでした。なので実は住所で見ると[1-10: Hot & Heavy]も間違ってる可能性がゼロではないのです。なんてわかりにくい演出だ。
ただ、[1-4: Tension]だけ唐突な気がするのは拭えないです。「最初の頃に一回間違えておくことで後半での怒涛の住所間違いの伏線にしたのだ」と言われたらそんな気もしますが、言われなかったらただの誤表記に見えます。なので、もしこの説を支持するとしたら、筆者的には[1-4: Tension]だけ誤表記ということにしたいです。
仮説2. Jacketが本当に住所を間違えた説
Jacketの記憶が混濁しているわけではなく、起きてた頃から本当にJacketが住所を間違えていたと考えることもできます。
果たしてJacketが天然なのか、それともわざとやったのかは分かりません。しかし実はこの説を採用すると、JacketのもとにRichterが送り込まれた件について、「Jacketが住所を間違えまくるから制御不能だと判断された」という理由をつけることができます。何気に作中だと、Jacketが消されそうになった理由がはっきりしてないので、一応アリだと思います。
住所を間違えたのが天然だとしたら、さすがにそういうキャラの演出ではないでしょうから、たぶんJacketはすごく精神的に参ってたんだと思います。いくらロシア嫌いの右寄りだとしても、何者かに脅迫されてあれだけロシアンマフィアを虐殺して正気でいる方が無理です。逆に住所を間違えたのがわざとだとしたら、Jacketが電話の主に反抗しようとしたという演出かもしれません。
いやどちらにせよ、なんで指示と違う住所に行ったのにロシアンマフィアがいるんだという話ですね。特に、間違えて行った先でロシアンマフィアを殺しまくってるなら、わざと説は意味不明になってしまいます。反抗するなら警察に行くべきです。
仮説3. 全部誤表記説
身も蓋もありませんが、すべて単なる誤表記という説もあります。少人数で作られてるゲームなので、無くは無いんじゃないかと思ってます。
この説を補強してしまうのが、前述した『なんとかE 24th St』です。住所間違いは全て『なんとかE 24th St』絡みです。特にNE 24th Stに至っては、[1-4: Tension]では電話で指示された住所でありつつ、[1-9: Crackdown]ではJacketが指示を無視して実際に行った場所になってます。
すごーく失礼ですが、微妙に製作上のミスっぽい香りがします。例えば何らかの理由で[1-4: Tension]と[1-9: Crackdown]の住所を入れ替えたあと、テキストの修正を忘れてたとか。
開発段階で各レベルの住所がいつ頃決められたかは想像するしかないですが、Dennaton Gamesのお二人は「マイアミにはHotline Miamiをリリースした後に一度だけ行った」そうです。少なくとも1の開発時には、マイアミの地理に明るくなかったと思われます。すると開発中は仮の住所を入れておいて、後から調べながら当てはめていったりして、しっくりこないからあっちこっち書き換えたりしてるうちに……。
野暮でしたね。すみません。
たとえ誤表記だとしても
だいたい、こんなの考えたところで本当の答えは分かりません。時間の無駄です (逆ギレ)。
でも結果的にこの住所間違いも含めて、Hotline Miamiの謎のトリップ感が醸し出されてるのかもしれませんね。少なくとも、長々とこんなこと考えて喜んでられるわけだから。
とりあえず筆者はこの件を深読みするのをやめました。お付き合いくださりありがとうございました。