White Bomb

毎度おなじみ流浪の番組、万次郎アワーのお時間がやってまいりました。

今日はちょっと小話でもさせてもらいますかね…。

「デンジャラス・ライオン」お楽しみください。

 

ある高校にAさんという女性が在籍していた。

Aさんは、その発言のあまりの過激さ、際どさから、空気を破壊する者として高校生におそれられてたのであった。

何をしても空気を読まない、読もうとしない。

目の前で指摘されようが、それを自分の事だと理解しない。

それがわざとなのか、天然なのか、周囲は困惑した。

時にはAさんにたいする議題を持ち寄って夜通し会議などを行ったが、ついに結論が出ることはなかった。

そしてまもなく、Aさんの周りから怪異が発生することになった。

 

ある日、授業が終わったAさんに女生徒が話しかけた。

「これからマクドナルドでシェーキパーティしない?」

「うんうん! いいね! ウンウンヘキシウム! なんつって! なんつって!」

 

…翌日この女生徒は姿を消した。

 

ある日、授業が終わったAさんに男子生徒が話しかけた。

「お前ってさ…ホントあれだよな」

「え、なに? 言って言って! イッテルビウム! なんつって!」

 

…翌日この男子生徒は姿を消した。

 

このような事態が頻繁に起こり、周囲は疑問をいだき始める。

こんなことが人間にできるのか…と。

そしてさらに、同じクラスの生徒による証言によると、

「Aさんの周囲には硫黄の臭いが立ち込めていた」「紐がついた黒い物体がカバンの中に入っていた」

「寝起きは顔面蒼白」「洗ってない犬のにおいがする」「寝落ちは顔面蒼白」

などといった普通なら考えられない様相を呈している。

あまりにも頻発する神隠し騒動に、ついには警察まで動き出すことになった。

 

機動隊員120名がライオットシールドを手に学校全体を取り囲んだ。

このライオットシールドを用いた陣形は非常に高性能で、

犯人が拳銃を持っている場合の型(正式名称)、犯人が日本刀を持っている場合の型(正式名称)など。

いかなる事態が起きようとも柔軟に対応することができると海外で評判になり、洋訳書籍として発売されたHowto本はミリオンセラーを記録した。

これにたいし天皇陛下氏はこのようなコメントをのこしている。

「僕もスピードラーニングで英語がしゃべれるようになりました」

 

この事態に、包囲の標的である3-Bでは緊急会議が行われていた。

クラスの生徒は何を目的にこのクラスが包囲されているのかを、誰一人知らなかったからだ。

だが原因は分からずとも、こういう場合はどういう行動をするのかは分かっていた。

「カミサマ、オコル。オラ、イケニエ ササゲル。カミサマ、ワラウ。」

生贄はクジで選ばれることとなった。

このクジは、クラスメイトが昼食に食べようとしていた割り箸を人数分に分割して用意された。

一本だけ先端を赤く染めたら分かりやすいよね、とは本多家長女の意見である。(この行は声に出して読もう!)

事前に一人を除いて全員で口裏を合わせていたために、滞ることなくクジの配布は終了した。

 

赤紙を引いたのはAさんであった。

引いたクジの先端には赤い染料ともに大きな文字で白ボンと書いてあった。

我々無知なる一般人にはその言葉の意味することまでは分からないが、ここからはAさんを便宜上、「白ボン」と呼称させていただく。

 

白ボンはその文字を見るや否や一瞬赤ら顔となったあと、再び顔面蒼白となった。

(余談ではあるが、この赤ら顔の状態は後の研究家たちに「みそボン」と呼称されている。)

うつむき1分ほど何かをつぶやいた彼女は、カバンから黒い物体を取り出し床に置いた。

そしてまたある一定の間隔をおき、今度は猛スピードで疾走しながら次々とその黒い物体を設置していった。

そして廊下に何重にも張り巡らされたライオットシールドのバリケードに激突したのだが、

機動隊員渾身の一撃の型(正式名称)により白ボンは激しく跳ね返された。

それでも何度も何度も体当たりしているうちに、異変が起きた。

 

白ボンに衝突された隊員が、突如として爆発したのである。

それを合図に、設置された物体が、十字の火を噴出しながら連鎖的に爆発しだした。

これにより3-B、および3-Aから3-Fまでのクラスが劫火に包まれ激しく炎上した。

白ボンがなにかをつぶやいていた、隊員が情報を無線に知らせようとした。

「SEIYOKUWO MOTEAMASU…」そこまでは聞こえたが、あとは轟音が鳴り響くばかりだった。

 

無線隊員が「こいつ何言ってんだ…」と振りかえった次の瞬間、白ボン最後の特攻が炸裂した。

おのれの70kgの肉体と50kgのトルニトロトルエンを時速1200キロまで加速し、

空気との摩擦により発生させた熱を利用し着火。

白ボンを中心とした半径10kmが跡形もなく吹き飛んだのであった。

 

これを記している私は、今、あまりの凄惨さに手の震えが止まらない。

この事件は、私を、デスクに置いてあるウイスキーを一定の時間置きに摂取しなければ目がかすみ、手が震え、幻覚が見える。

そういう体に変貌させてしまった。

 

身体的にも限界が近いので、最後に友人の証言をしるさせてもらう。

今後このような事件が起きないように…みずからの戒めとして…。

 

「白ボンってかわいくね? 俺明日告白すっぺ」