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77.世界の真ん中で

 > 5…3188902ゑ………………………
 >-000……210九7921008………
 > …13600721106四93……1…
 >……ーは以下の理由で異常終了しました。該当する座標を確認してください。
 >強い衝撃を受けたか、……
 >破損したデータが存……
 >……見つかりませんでした。……
 >……は回収されませんでした。……
 >…………

 

 白い電波塔は、当初は存在しなかったものだと言われている。何らかの理由で、後からやや強引に追加されたものであると。少なくとも彼女はそう教わっていた。

 なので白い電波塔に関連する処理周辺では、おかしな出来事が起こることが多い。例えば代表的かつ致命的なのだと、白い電波塔の天辺くらいの高さからまっすぐがれきの上へ落ちた時、壊れた肉体から飛び出したものが、地面の下へすり抜けてしまうという現象とか。

 ゼロとイチが渦巻く想定外の空間さね。

 普通のものが入り込んだら壊れてしまう。そんなところに、そんな簡単にだ。ちょうどエーテルの三番地がオーバーフローする抵抗がある、というあたりまでは判明しているのだけれど。

 何度か直そうとはしてみたものの、他の膨大な作業をこなしながらでは、そこまで手が回らないのが現状だった。膨大な――生命を浄化し続ける合間で処置するには。

 実際には、白い電波塔に登るのはメンテナンスをお願いしてる人たちくらいだし、落ちるにしても、余程頑張って飛ばなければまっすぐ落ちることなどできない。それにどちらにせよ、そのような高所から落ちた時点で、普通の生き物は死んでしまう。

 しかしせめてもの対応として、彼女は異常な空間に入り込んだオブジェクトを回収するための機構を作った。彼女はこの箱庭を愛していた。その箱庭で暮らすものが、輪廻の届かないところへはじき出されること、それを想うとあまりに悲しかったからだ。

 ところで、そいつが久方ぶりに異常停止したらしい。

 何かにぶつかったみたいだ。だが彼女が気付いた時、すでに原因は特定できなくなっていた。何らかのオブジェクトのIDは既に霧散し、残るは断片のみ。繋がりが崩壊したものを回収することは困難を極める。

 不可解なエラーログを眺めながら、諦めて再起動。

 スコップを拾い上げ、彼女は祈るような気持ちで黒い電波塔を見上げた。その赤い髪が、冷たい炎に揺れていた。